「ぼくらの頭脳の鍛え方」―必読の教養書400冊 立花隆・佐藤優(文春新書)

「知の巨人」と「知の怪物」が、それぞれ「知的欲望に満ちた社会人へ」と「すぐ役に立つ、すぐ買える」の2テーマから百冊づつを推薦、ブックリスト化したもので、対談を通し教養とは何ぞや、を考えさせてくれます。

◆なぜ“教養”は必要か
立花「教養の定義として、役には立たないが知っていないと恥ずかしい知識の総体。または、教養人と恥ずかしくない会話を持続的にかわせる知的能力、ということではないか」
佐藤「やはり教養は役に立つもの、と思う」
 両者の主張は“ズレ”をみせるが・・・
佐藤「『日本共産党の研究』(講談社)が書かれた時、他の研究者が共産党を研究対象にすることに恐怖を覚えるほどの徹底的した取材妨害、攻撃があった。共産党のそういうエネルギーは、マルクス主義の持つ宗教性だけを肥大させたところから出ていて、マルクス主義の毒薬にやられた宗教団体と言える。その団体からの弾圧に屈しない力が“教養”だ」「中核派と革マル派、キリスト教各派の対立のように、自分たちと考えの合わない連中は敵である、という思考、構造が常に出てくる。即ち“教養”とは、今自分が遭遇している未知の問題にあった時、そういうことをテキストから読み取る力である