やるせない雨が降っている。
今日の午前の患者は 軽度のコンパートメント症候群(シンスプリント)。
陸上部 高校生 女子。 スネの内側の痛みと 膝の痛みを訴える。
レースシューズの中から出てきたのは、このインソール。
スポーツ整形でつくったと言う。
当然、シューズの中に入るはずもなく、シューズはインソールの形に膨らみ、それでも収まり切れないインソールが、シューズの中で斜めにはいっていました。
厚さが1cm以上ある内側アーチ。
それより酷いのはピンポン玉のような水平アーチ
病院の先生に言われた通り、彼女はこれをシューズに入れたまま走っていたと言う。
「これで走れた??」
「これを使うと走れなかったので歩いていました。」
・・・やるせない雨が降っている。
純正のインソールをロストしていたので作ることにしました。
作るといっても、フラットで、普通の中敷きです。
フラットなインソールを入れて走ってみました。
足首が倒れこみを引き起こしていました。
使用していたシューズは アシックス SUPERMAGIC。
セパレートシューズでした。
足の裏全体が地面に着くフラットソールとちがい、セパレートソールでは足の裏全体が地面に着きません。
アウトソールは、小指球側が削れていました。
ミッドソール(白い部分)はタータントラックを踏んでる跡が残っていました。
足の裏全体を着いています。
立脚期で体が外に傾いたあとに・・・
足首が大きく中に倒れこみました。
このシューズは、普通、フロント着底で使うシューズですけど、フラットに踏んでいます。
フラットで使うには、このあたりの強度が低すぎるので・・・
この部分が凹み、結果として、シューズの内側が高くなり、つま先が中に旋回できず(トゥーアウト)、
後脛骨筋がけん引される・・・のかなぁ?
そんな意味合いで、彼女に協力してもらい、治験を行うことにしました。
●治験を行いました。
治験の内容と目的は、足を治療せず、シューズの中のインソールを改造することで、シンスプリント部の痛みを改善することです。
一カ月ぶりに来院しました。
足の治療を一切せずに、シューズの調整しかしなかったので、足の痛みがどうなったのか?気になっていましたが、その後、痛みはなく すぐに練習も再開し、「やりたい量をやりたいだけできた。」と聞いて安心しました。
「このシューズは速度が出るよ」
そう言いながら渡したくらいの自信作。
改造前のシューズで走ったときの足首は、内側に倒れ込み、潰れていました。
コチラが改造インソールでの足首。
直後、このシューズで
1500m トラック、 自己ベスト 8秒更新!
「このシューズが一番 走りやすい。」
そう言ってくれたのが何よりです。
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痛みの原因は、体だけでなく、シューズにあることもあることを発見しました。
シューズを治すことで、痛みを治す。これは、今までやってきたことと違う、新しい引き出しを見つけたと同時に、繰り返す痛みに対し有効な治し方だと思いました。
可能性が大きく広がりました。
まだまだ、知らないことばかりです。
2012-04-03