合宿帯同中にあった話をします。
長距離ブロックの先生から、このような話がありました。
「デッドポイントを超えて練習ができるように」
陸上競技の長距離やランニングをしている方には、馴染みのある言葉かもしれません。
持久力トレーニングでは必須な理論である「デッドポイント」、それに関連する「セカンドウィンド」について、今回は説明していきます。
デッドポイント(デッドゾーン)
走り始めて体が慣れてくるまでの苦しい期間を、デッドポイント(デッドゾーン)と呼びます。
もう少し馴染みのある言葉だと、「ランナーズハイ」の前段階と言い換えることができます。
長距離走は、走り始めから体が慣れるまでに時間がかかります。
慣れるまでの間に起こる不調として、
- 呼吸が苦しくなる
- 脚が重たくなってくる
- 脇腹の痛み(差し込み)
などが挙げられます。
これらの原因は、急に体を動かしたことによる酸素不足とされています。
デッドポイントを迎えるタイミングには個人差があるため、どの程度動くべきかを明言することは難しいです。
そのため、トレーニングやレースでデッドポイントを迎えることが無いまま終わることもあります。
「長距離走は苦しい」
このように思われるのは、デッドポイントを乗り越える力が無いために、苦しい状況で終わってしまうためです。
セカンドウィンド
デッドポイントで起こる症状に慣れが生じて、楽に走れる状態になることをセカンドウィンドと呼びます。
言い換えると、「ランナーズハイ」を起こしている状態です。
セカンドウィンドを迎えると楽に感じる理由
デッドポイントの状態でスピードやペースを落とすこと無く走ると、徐々に身体が苦しい状態に順応を始めます。
特に、呼吸器が機能するようになり、酸素摂取量が安定すると、差し込みなどの症状が軽減されていきます。
つまり、呼吸が安定する適切な負荷をかけながら体を動かしていくことが、セカンドウィンドを迎えるためには必要となります。
質の高い練習や自己ベスト更新を狙う場合、デッドポイントとセカンドウィンドの関係を頭に入れておく必要があります。
これを知っていることで、練習やレース中であっても負荷の調節が可能となり、最後まで追い込みがかけられるようになるからです。
デッドポイントを乗り越えるためには
本練習やレースでデッドポイントを早く乗り越えるには、入念なウォーミングアップが有効です。
- 筋肉を動かして体を温めること
- 循環器・呼吸器が機能すること
などを目的に、しっかり体へ負担をかけましょう。
ウォーミングアップが適切であれば、スタート前から激しい運動に体が順応するため、デッドポイントの苦しみが軽減されやすくなります。
スタート前に息切れを起こす程度まで体を動かして、心臓や肺に負担をかけておくことが理想です。
※デッドポイントを起こしにくい「イーブンペース」
イーブンペースとは、走る速度を一定にすることで、酸素不足を少なくする方法です。
言い換えると、エネルギーの急激な消費を抑える走り方のため、最も効率が良い走り方と言えます。
この話だけを聞くと、練習やレースをイーブンペースで走れば良いのでは?と思うかもしれません。
答えとしては、練習強度を落とすことやレースペースに支障が出ることに繋がるため、現実的には不可能だと思います。
「全力で」「ペースを一定に走る」ことは負荷が高いため、持続性に乏しくなります。
また、イーブンペースでも確実に体力は消耗しているため、デッドポイントが来ないとは言い切れません。
イーブンペースを用いた練習には、強度を少し落とした体作りなどが挙げられます。
セカンドウィンドの感覚を掴むには
トレーニングからデッドポイント、セカンドウィンドの関係性を意識することが大切です。
様々なトレーニングを試すことで、自分がどこでデッドポイントに入り、セカンドウィンドを迎えるのかが把握できます。
「苦しみの先にセカンドウィンドがある」
これを頭に置き、ペースをコントロールしながら走ることで、精神的・身体的に楽な走りが身に付きやすくなります。
話が長くなりましたが、持久系トレーニングでは基礎となる理論です。
長距離走はツラい練習が多く、レース中もキツさが勝つことが多々あります。
しかし私は、それを乗り越えることが楽しみの一つだと思っています。
特にレースでの達成感を味わうためには、練習での追い込みは必須です。
逃げたくなる部分で少し頑張って、レースで頑張れるカラダ作りをすることをオススメします。
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