藤原俊成 山川の | わたる風よりにほふマルボロ

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現代短歌新聞2021年4月号

作品掲載

 

new「源氏で紡ぐ和歌便り」

2021年8月分掲載new

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(久安の比崇徳院に百首めされし時奉る歌

 秋歌二十首)

 

山川(やまがは)の水の水上(みなかみ)尋ねきてほしかとぞみるしら菊の花

 

藤原俊成

長秋詠草、久安百首、49

 


 
【現代語訳】

 

山に流れる川の水の水上を

尋ねて来て、

そこに星かと見紛ったよ、

輝く白菊の花に出くわして。


(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

久方の雲のうへにて見る菊はあまつほしとぞあやまたれける

藤原敏行 古今和歌集秋下269

 

谷川のきしべにたてる白菊をひるさへほしとおもひけるかな

藤原基俊 堀川百首秋843

 

山川:山のなかの川。

 「やまがは」と読むとこの意味で、

 「やまかは」と読むと

 「山と川」の意となる。

 

 

 

久安六年(1150年)

崇徳院主催「久安百首」での

秋歌19首目。

 

 

中国の故事「菊水」が

踏まえられています。

 

「菊水」は、唐代初期成立の

『芸文類聚』などに見える

故事ということで。

 

 

南陽酈県の山上に菊があり、

そこから流れる谷水を飲むと

長寿が保てる、とのこと。

 

 

崇徳院主宰の百首歌での

「山川の」のこの詠み方なので、

 

上皇や上皇の住まいを

「仙洞」と呼ぶことと

中国の故事の山上の仙界の

イメージとが

重ねられているでしょう。

 

 

こののち崇徳院は

保元の乱を経て

讃岐で亡くなりますが、

 

亡くなったのではなく

鬼となったのだとか

なんとか言われますね。

 

「鬼」と「仙人」「仙界」とで

イメージは異なりますが、

まったくかけ離れた概念でもない。

 

 

 

崇徳院の

(「久安百首」時点から見た)未来は

ともあれ。

 

 

この時俊成の詠んだ

「山川の」詠は

 

少しばかり

大ぶりなところがあるものの

『古今集』あたりの歌のような

嫌味な感じはまったくなく、

 

院に奉る歌としての

節度を持った大ぶり、という印象。

 

大袈裟な感じも、

使いどころを心得れば

ふさわしいのです。

 


俊成詠によく見られる

感情のうるささもこの歌にはなく、

韻律も姿も整っており、

 

好ましく読める歌のひとつでは、

と感じられます。

 

 

山川の水の水上尋ねきてほしかとぞみるしら菊の花

 

 

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