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10月4日、
近日中にインスタグラムにて
読者プレゼントを始めます
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及ばぬ高き姿を体現する
子宮系歌人 梶間和歌です。
先週日曜の記事の流れで、
2年前の「心の花」応募作を
リブログしました。
その20首詠は、大幅に手を入れて
歌集『生殖の海』第4章に
使っています。
和泉式部ですね。
こちらをご紹介します。
梶間和歌歌集 『生殖の海』
第四章 明けぬ夜の闇
――冥きより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月 雅致女式部
夢よりもはかなき世に又夢を見る忘られぬ夢のあとを追ふため
夢のうちに夢を見る世にあらばあれ又なき夢を見る夢とせむ
橘に匂ひをよそへ恋ひられて憂き世をすこし忘れつゝゆく
つかの間の夢を見むとす冥きより冥きに落つる我がこゝろ哉
をりを知るなさけにもろ手取り交はし又なき君と入れる迷ひ路
ひたぶるに君を肌へに刻みつゝもろともに見る夢のはかなさ
とく絶ゆるさだめなればやこゝろから恋のかぎりの恋をしにけむ
ひとたびに哀しと知りし別れさへよすがにあれば恋しとぞ思ふ
ありて別れ君とはあらずなりてとやなべて憂き世の夢とこそいへ
さ緑の風に抱かれ君を知りこは誰が誰れを待ちに待つ空
橘の降りしむる夜に死出の山を越え来よ君は山ほとゝぎす
我れのみやせむと問ひける古言をみづぐきの跡ゝ綴るうつせみ
夢ならで又は見るべき君も哉さらば憂き世に強ひて生かまし
そのことゝ覚ゆるをりもありせばとつらきまで君はあはれなりけり
恨むべき何かはありし恋ひ恋ひて憂き世にいまは消えぬ泡沫
夢にだに紛れぬ身こそかなしけれうつゝともなく暮るゝ憂き世に
人かはとおどろかれぬるこゝろもて生きて夜を経てまだ夢を見る
つれなさを我れに求むる我れなれや恋のかぎりを知らずがほにて
憂き世とは言ふも憂き身とえも言はじ君が形見と我れを思へば
梅が枝に花かと匂ふ雪積めばをり知りがほにうぐひすぞ鳴く
明けぬ夜の闇より闇に迷ひたり行くあてをなみ又や恋する
はじめより終へ処を知らぬ夢路なり照らすばかりの月をながめて
生きて見るこの世の夢の果ても知らず西にかたぶく月のさやけさ
夢よりもはかなき世にてその夢に影のうつろふ花は散りけり
出典:拾遺和歌集哀傷一三四二
ほとんどの歌に本歌があるので、
本歌をご存じないと
読み取りにくいかも。
とはいえ、
「恋をして、別れたのかな」
ぐらいは本歌の知識がなくても
読めるかもしれませんが、
いかがでしょう。
『和泉式部日記』、それから
『和泉式部続集』中の
「帥宮挽歌群」を
お読みになったことのある
方には、察しがつくかしら。
おおもとの連作はこちらで、
これに手を入れてゆきました。
私が歌集を編み始めたのは
昨年5月だったので、
その時点から見ると
おおもとの連作を詠んだのは
約1年前。
ただ、梶間和歌の1年は
多くの方の1年と比べて
大変濃い。
昨年5月から今年5月までの
歌集を出すための1年間を
ご存じの方は
「……ああ」
と頷かれたことでしょう。
濃いです。
1年もあると
どのような歌や連作を
よしとするか
の価値観も変化します。
変化するというか、
自分の歌に求めるものの
水準が高まります。
同じ価値観の方向性のなかで
求める水準が高まるという意味。
2018年のおおもとの連作には
好きな歌も多かったですが、
しつこいでしょう。
冷静に読んで、
しつこいでしょう。
「悲しいのはわかった。
……で? 」
和泉式部の歌の読後感と
建礼門院右京大夫の歌の
読後感は、大変似ています。
悲しみ全開!!!
悲劇のヒロイン!!!
自分に酔っている!!!
でもそんなものを押し売りされても
感動などできないのだよ!!!
という歌風。
続きは明日の更新とします。