藤原定家 旅人の | わたる風よりにほふマルボロ

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旅歌とてよめる

 

旅人の袖吹きかへす秋かぜに夕日さびしき山のかけはし


藤原定家
新古今和歌集羇旅953

 


 
 
【現代語訳】

まるでふるさとの方向に

戻そうとするかのように
旅人の袖を

吹きひるがえす秋風。

そこに夕日が

もの寂しく射し掛かっている

山の架け橋だ。

(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

黄埃散漫風蕭索 雲棧縈廻登劍閣
峨嵋山下少行人 旌旗無光日色薄

白氏文集 巻一二 「長恨歌」


采女の袖ふきかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く

志貴皇子 万葉集巻一、51

 

袖吹きかへす:

 袖をひるがえして吹く意味に、

 旅人自身をふるさとに

 戻すように吹く意味が響く。

 

夕日さびしき:

 作中主体の主観として

 「寂し」というより、

 そのような状態に

 夕日の射し掛かる様子が

 客観的に「寂し」

 というニュアンスが強い。

 

かけはし:桟道。崖など、

 通行の難しい険しいところに

 板などを架け渡して

 通れるようにしたもの。

 懸け橋、梯、桟などと表記。

 

 

 

建久七年(1196年)九月十八日、

「韻歌百廿八首和歌」の

秋の部の一首。

定家35歳の時の詠です。

 

定められた韻字を

結句に詠み込む

というルールです。

 

この歌では韻字「梯(かけはし)」を

詠み込んでいますね。

 

 

もとは

秋歌として詠まれたものですが、

『新古今集』では「羈旅」部に入集、

 

自歌合でも定家は

旅の歌として採っています。

 

 

入集は『新古今集』ですが、仮に

それに採られなかったとしたら

後世『玉葉集』『風雅集』あたりに

採られたことでしょう。

 

大変京極派的。

定家は京極派ではないですが。

 

と思ったら、本居宣長も

かやうにただ物をあつめて、けしきをいひならべたるは、玉葉風雅のふりにちかし

『美濃の家づと』

と述べているようですね。

 

 

ふさわしい写真やイラストが

見つからなかったので

これらの写真を入れましたが、

 

実際の景は

この歌を読み、心に結んだ

そちらを信用してほしいです。

 

 

旅人の袖吹きかへす秋かぜに夕日さびしき山のかけはし

 

 

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