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家に百首歌合し侍りける時
立田姫いまはのころの秋かぜにしぐれをいそぐ人の袖かな
九条良経
新古今和歌集秋下544
立田姫:秋を司る女神。「竜田姫」とも。
竜田山を神格化したもの。
竜田山が平城京の西にあったため、
陰陽五行説で
西と秋が一致することから
秋の女神とされた。
いまは:臨終。
ここでは立田姫の臨終なので、
秋の終わりを指す。
しぐれ:晩秋から初冬にかけて
降ったりやんだりする雨。
“晩秋から”とはいえ、
神無月(十月、冬の初め)の訪れの
象徴でもあるので、
ここでは「まだ秋なのに
冬の時雨のような袖」と読む。
なるほど、秋の終わりを
立田姫の“いまは”と詠む
という詠み方があるのか、
と少々驚きました。
約300年前の
『古今集』風の見立てや擬人化に
少し近いおもむきが
あるかもしれませんね。
とはいえ、その技巧を
歌のなかでどのように処理するか
というところを見ると、
しっかり新古今和歌なのですが。
……でなければ
『古今集』嫌いの私が
訳して紹介する、ということも
なかったでしょうし。笑
立田姫いまはのころの秋かぜにしぐれをいそぐ人の袖かな
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