西行 横雲の | わたる風よりにほふマルボロ

わたる風よりにほふマルボロ

美しい和歌に触れていただきたく。

*:..。o○ ○o。..:*

newプロフィール小説リリースnew


LINE@メール

おみくじ、占い感覚でどうぞキラキラ

 

new梶間和歌応援企画流れ星new

*:..。o○ ○o。..:*

 

 

題しらず

 

横雲の風にわかるるしののめに山飛びこゆる初雁のこゑ

 

西行

新古今和歌集秋下501

 


 
 
【口語訳】

 

長く横にたなびく雲が

風のためにふた筋に分かれてゆく

東雲の空を眺めていると、

姿は見えないけれど

あちらの山を飛び越えてゆく

初雁の声がしたよ。


(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

横雲:横に長くたなびく雲、多くは

 明け方の東の空にたなびく雲。

 

しののめ:明け方。

 もとは「篠の目」で、

 住居の明かり取りに用いた篠竹の

 編み目を指し、そこから

 「夜明けの薄明かり」「夜明け」と

 意を転じていった。

 

初雁:秋に北国から飛来する渡り鳥、

 「ガン」を、もとは「かり」と呼んだ。

 和歌では、その鳴き声を

 哀愁を誘うものとして詠む。

 

 

 

『山家集』333。

 

 

一読して、定家の

春の夜の夢のうき橋とだえして峯にわかるるよこぐもの空
新古今和歌集春上38

を連想しましたが、

 

「春の夜の」の詠まれたのは

建久九年(1198年)夏、

 

西行の死は建久元年(1190年)なので

西行「横雲の」のほうが先ですね。

 

影響関係があるのかしら。

 

定家というか、

俊成定家父子と西行には

親しく交流があったので、

 

西行歌が定家に影響したところは

もしかすると

あったのかもしれませんね。

 

それでなくても定家は研究熱心ですし。

 

 

西行は現代でも人気の歌人ですが、

私には、その情緒的すぎる部分が

うるさいなあと感じることも多く。

 

そんななかで、「横雲の」は

余計な感傷が削ぎ落とされており、

私の好きな種類の西行歌です。

 

ぴしっと体言で止めているところや

余計な感情を入れてないあたり、

新古今和歌的ですね。

 

 

西行は、

『新古今集』に最多入集している

歌人ですが、

決して“新古今歌人”ではないです。

時代を考えても、歌風を考えても。

 

新古今時代より少し早い時期に

活躍し、亡くなった西行。

俊成と同世代ぐらいになりますね。

 

『新古今集』が嫌いだという人の

一定数は、西行好き。笑

 

『新古今集』最多入集歌人が

新古今的でないというのは、

また大変興味深く。

 

 

横雲の風にわかるるしののめに山飛びこゆる初雁のこゑ

 

 

*:..。o○ ○o。..:*

 

和歌・短歌みくじとして遊べる

LINE@へのご登録はこちらから・*:.。

友だち追加

 

気軽に和歌の楽しめる

Instagramアカウント・*:.。

 

執筆、講義のご依頼はお気軽に・*:.。

キラキラ(執筆関係)

キラキラ(講義関係)