永福門院内侍 あひみつる | わたる風よりにほふマルボロ

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キラキラ

 

『源氏物語』を使った心理学講座。

次回講座は1月23日

紫上の前半生を題材にします。

 

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恋歌とてよめる

 

あひみつるこよひのあはれ夢なれなさめては物をおもはざるべく

 

永福門院内侍

風雅和歌集恋二、1088
 


 


【口語訳】
 

現実とも思えない。

あの人と抱き合い、愛し合えた

今宵の事……今宵のすべてよ、

どうか夢であってくれ。

夢であれば、いつか覚めても

もの思いにふけることもないだろう。

どのみち夢なのだから、と

気安く思えるだろう。

覚めても惜しくもない夢で

あっておくれ、どうか。

 

(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

あふとみる程はうつつにかはらぬをさめて夢ぞと思はずもがな

二条為実 新後撰和歌集恋二

 

あひみつるこよひ:

 逢瀬を実現した今宵。

 「つ(つる)」は完了の助動詞で、

 たったいま経験したこと、また

 感覚としてたったいまのように

 感じられることを表す。

 

あはれ:もとはため息の音、

 「ああ」という意味の感動詞で、

 名詞としては、愛情に限らず

 「ああ」と声の漏れるような

 さまざまな感情を表す。

 

夢なれな:夢であれよ

 

さめては物をおもはざるべく:

 夢が覚めた時に

 もの思いにふけることのないように

 

 

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いざ、愛する人と愛し合えた夢を

見て覚めたら、絶対に

もの思いにふけるのですけれどね。

 

ここでそんな事を言っては

いけないのです。

 

 

あひみつるこよひのあはれ夢なれなさめては物をおもはざるべく

 

 

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