慈円 山里の | わたる風よりにほふマルボロ

わたる風よりにほふマルボロ

美しい和歌に触れていただきたく。

*:..。o○ ○o。..:*

 

 

梶間和歌作品一覧
 

堀河百首チャレンジ【連載中】

宇治十帖本説取りチャレンジ【連載中】

 

new梶間和歌の『新古今集』秀歌選【連載中】

『玉葉集』秀歌選【連載中】new

*:..。o○ ○o。..:*

new次回裕泉堂歌会は6月25日ですnew

new裕泉堂歌会向け講義動画new

 

new隠岐後鳥羽院大賞令和5年和歌部門で

大賞を頂きましたnew

*:..。o○ ○o。..:*

 

 

夏の歌とて

 

山里の雪には跡もいとはれきとへかし人の五月雨のころ

 

慈円

玉葉和歌集夏359

 

 

 

【現代語訳】

 

訪れるのもおっくうになるから

山深い里の深い雪には

足跡を付けるのも

厭われたものだし、

あの美しい雪に足跡を付けられると、

訪問客のうれしさだけでなく

雪の汚される嫌悪感も

抱かれないではない。

 

さて、いまは五月雨の夏だよ。

人の心乱れる五月雨のころ、

この山里を訪うて来なさいよ。

 

(訳:梶間和歌)
 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

跡:足跡

 

いとはれき:厭われた、

 嫌がる気持ちになった。

 「る(れ)」は自発の助動詞で、

 「(意識的にではなく)おのずと

 そのような気持ちになったり

 そのような行動を取ることに

 なったりする」意。

 

とへかし:「訪ふ」の命令形に

 念押しの「かし」の付いた形

 

五月雨:「人の」に続くので

 「乱れ」を響かせるか。

 

 

 

【2024年に訳に加筆しましたが、

 以下の文章は

 2021年執筆のままです】

【コメント欄までご覧いただきますと

 いっそう有意義です】

 

 

困りました。

 

 

私、この冬に

『新編国歌大観』を

手に入れてからは

 

歌の表記をなるべくそちらに

揃えるようにしてきたのです。

 

 

なにも、『新編国歌大観』だから

一番信用できるとか

そういうことではないですが、

 

ブログ記事のすべてを

どれかの表記に

統一することは無理でも、

「この時期以降は

 この本に沿っているよ」

というある程度の統一感は

あったほうが親切かな、

 

と考えまして。

 

 

なのですが、

この「山里の」の歌は

 

岩波文庫『玉葉和歌集』

夏の歌とて

山里の雪には跡もいとはれきとへかし人の五月雨のころ

 

 

『新編国歌大観』

第一巻 勅撰集編

夏歌とて

山里のゆきには跡もいとはれずとへかし人のさみだれのころ

 

 

 

「いとはれき」と

「いとはれず」では

 

時制もですが、何より意味が

正反対ではないか。

 

 

 

初出を調べようと思い

慈円の家集『拾玉集』を

索引検索しても、ないし。

 

 

 

その他、私撰集などを

調べることまでは

しませんでした。

 

余力があって調べられた方が

もしいらっしゃいましたら、

ぜひコメントで

教えてくださいませ。

 

 

 

ということで、この記事では

私の乏しい教養と

それらから導かれる常識で

文脈を考え、

「いとはれき」を取りました。

 

 

「山里の雪には

 足跡を付けるのも

 おっくうにならない。

 訪うて来なさい、

 人の心乱れる五月雨のころ」

 

では、上下句の意味が

通らないですよね。

 

雪に跡を付けるのが

厭われないのだとしたら、

五月雨のいまではなく

雪のころに「訪え」と言えば

よいはずなので。

 

 

 

新古今歌人でも、

初学のころは式子内親王、

その後は定家や後鳥羽院に

偏って学んできた私には、

慈円先輩の歌の学びが

まったく足りていないようです。

 

諸事情あり、

この秋の引っ越しまでは

近隣の図書館も閲覧利用しか

できないのですが、

 

慈円関係でもし

お勧めの図書などありましたら

ぜひ教えてくださいね。

 

 

私の知っている事や

考えてきた事は

惜しみなくシェアしますが、

 

だからといって、ここは私が

一方的に教えるだけの

場である、とは

考えておりませんので。

 

同じ、または近しい

歌の高みをめざす者同士、

助け合って参りましょう。

 

 

及ばぬ高き姿をねがひて。

 

 

山里の雪には跡もいとはれきとへかし人の五月雨のころ

 

 

*:..。o○ ○o。..:*

 

いつも応援、また金銭的なご支援も

本当にありがとうございます。

 

 

ご支援を募ることについて

考え方が変化しつつあり、

 

 

 

 

現在このようなとおりです。

 

 

「経済的に困っているので助けてほしい」

という募り方をなるべくしたくない。

 

「この人を応援することは良いことだ」

という確信を以て、または

「この人おもしろい。応援したい」

という明るい動機から

応援していただくため、

 

経済的に困っている時も

困っていない時も

堂々と支援を求められる自分であるべく

日々全力で和歌と向き合っております。

 

 

このあたりの文章化には

もう少しお時間いただきますが、

 

それまでも、これからも、

梶間和歌にいっそう和歌仕事に

集中させるべく、どうか

応援よろしくお願いいたします。

 

それでは、またね。

 

*:..。o○ ○o。..:*

 

音符講座動画を購入する

 

音符歌集『生殖の海』 を読む

 

音符梶間和歌の

宇治十帖本説取り和歌を読む

 

音符梶間和歌の堀河百首詠を読む

 

音符その他の作品を読む

 

音符梶間和歌の秀歌選を読む

 

 

音符梶間作品の載った雑誌を買う

 

new最新の掲載情報

『短歌往来』2023年9月号new

nagarami@jasmine.ocn.ne.jp

03-3234-2926

(ながらみ書房さま)

 

音符Facebookグループで遊ぶ

 

音符和歌みくじで遊ぶ

友だち追加