はつ秋の 「心の花」2013年12月号掲載作品 | わたる風よりにほふマルボロ

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「心の花」2013年12月掲載分(9月提出分)詠草

 

梶間和歌


 

☆はつ秋の宵の月こそかなしけれ待つべき者の誰(た)れとなき身を

 

試みに手折(たを)らばたをれいにしへの薫りよそふる時にやはある

 

☆道の端(は)に打ちやられたる緋扇(ひあふぎ)を盛夏を葬(はふ)るまつむしのこゑ

 

(たの)まじなさるかね言(ごと)も思ひみじ扇は秋も忘られぬべし

 

もの思へば乱るゝ髪のすぢごとにゆびの触るらむしら萩の花

 

☆恃(たの)みしはなしと思へどあくがるゝ魂(たま)こそ夢を通はむとすれ

 

花のいろ川の流れのことわりに身こそ憾(うら)むれ怨みゝはせじ

 

☆露の置く浅茅が原のしのゝめの雲のあひよりあらしたつ也



(☆のあるものが掲載されました)
 
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【本歌、参考歌、語釈】

 

 

はつ秋の宵の月こそかなしけれ待つべき者の誰れとなき身を

 桐の葉もふみ分けがたくなりにけり必ず人を待つとならねど
 (式子内親王 新古今和歌集秋下534)

 

 

道の端に打ちやられたる緋扇を盛夏を葬るまつむしのこゑ

恃まじなさるかね言も思ひみじ扇は秋も忘られぬべし

 秋の扇:夫の寵を失った女性を

  秋になり用のなくなった扇に喩えたもの。

  王昌齢 「西宮秋怨」などの漢詩に、

  その輸入で和歌にも取り入れられてきたモチーフ。

 

 まつむし:「待つ」を掛ける

 

 かね言:約束の言葉

 

 忘られぬべし:忘れられるはずだ

 

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