道潤 鳴きぬべき | わたる風よりにほふマルボロ

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待郭公

 

鳴きぬべき雲のけしきに待ちなして今やと頼む郭公かな


道潤
玉葉和歌集夏313
 
 
【口語訳】

こんな雲の様子なのだもの、
今日こそほととぎすは鳴くだろう。
いかにもそんな風情の雲を理由に
ことさらに待たれてしまって、
いまか、いまか、と期待されてしまう
罪作りなほととぎすよ。

(訳:梶間和歌)
 
 
鳴きぬべき雲:いかにも(ほととぎすの)鳴きそうな雲

けしき:気色。様子、模様。

待ちなして:
 補助動詞「なす」は、「ことさらに…する」の意。

頼む:期待する
 
 
本歌は九条良経の3男基家の

 

なきぬべき夕べの空をほととぎす待たれむとてやつれなかるらむ

(続後撰和歌集夏175)

 

とされます。

 

 

ほととぎすがなかなか鳴かないさまを

「人の心を焦らそうとしてつれないのだろうか」

と恋に重ねて詠ったこの歌

 

を本歌とした

道潤の「鳴きぬべき」ゆえ、

 

訳に「罪作りな」という一語を加えました。