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千五百番歌合に、初冬のこころをよめる
おきあかす秋のわかれの袖の露霜こそむすべ冬や来ぬらむ
藤原俊成
新古今和歌集冬551
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20151104/14/waka-kajima/77/9e/j/o0800046213474182777.jpg?caw=800)
【口語訳】
翌日より冬となる長月最後の昨晩、
行く秋を惜しみ起き明かしていたら、
我が袖にも露が、涙がしとどに置き、
ともに夜を明かすことになった。
その袖の露は、朝には霜と結んでいて。
この一晩のあいだに
冬が来てしまっている
ということなのだろうか。
(訳:梶間和歌)
【本歌、参考歌、本説、語釈】
おきあかす:「起き明かす」だが、
露「置き」を掛ける。
露:涙のこと。
霜こそむすべ:
ここでは逆説の意味はなく、
強意と捉える。
冬や来ぬらむ:
冬が来ているのだろうか、
冬が来てしまっているのだろうか。
「や」を疑問の係助詞と捉えると
このような意味になる。
ただ、文中に用いられる例は
あまり見ないが
詠嘆の「や」であると捉えると、
「冬が来たのだなあ、来ていたのか」
のようなニュアンスになり、
こちらのほうが自然とも読める。
例えば、
『源氏物語』「花宴」での朧月夜の
うき身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば訪はじとや思ふの「や」は疑問や反語ではない。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20171004/13/waka-kajima/d0/60/j/o0481031914041433596.jpg?caw=800)
『新古今集』冬部巻頭の歌。
2019年は本日8日が立冬です。
辞書や先行研究は
もちろん参考にするのですが、
原語で対峙した時に
「ここは、こうは読めないよなあ」
「これは、こう言っているよなあ」
と確信するものもあります。
あんばいですね。
おきあかす秋のわかれの袖の露霜こそむすべ冬や来ぬらむ
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