西園寺実兼 花鳥の | わたる風よりにほふマルボロ

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主夏(しゆか)の心をよみ侍りける

花鳥のあかぬ別れに春暮れてけさより向(むか)ふ夏山の色

西園寺実兼
玉葉和歌集夏293

 


 
 
【現代語訳】

春の花鳥、桜や鶯との

名残惜しい別れのうちに春は暮れ、
立夏の今朝より世界の向き合う

……いや、我が心の向き合う
新緑の夏山の色の爽やかさよ。

 

(訳:梶間和歌)

 
【本歌、参考歌、本説、語釈】  

 

花鳥:花と鳥、ここでは桜と鶯


あかぬ別れ:

 満足しきらないうちに迎える別れ

 

向ふ:向き合う、相対する

 


 

 

色彩のコントラスト。
 
もう眼前には存在しない桜の花と
目の前に広がる新緑の色とが

鮮やかに目に浮かびますね。


まるで映画のよう。

 

 

時代は

実兼のころより昔になりますが、

新古今時代の宮内卿の歌の持つ

色彩のコントラストも思わせますね。

 

例えば先日

花さそふ比良(ひら)の山風吹きにけり漕ぎ行く舟のあと見ゆるまで
宮内卿 新古今和歌集春下128

を動画で紹介したのですが。

 

 

これを聴いてくれた友人が

 

「絵画を観るのは好きだったけど、

 和歌は

 干からびたガイコツみたいな

 イメージだった。

 

 でも和歌さんの解説を聴いて、

 絵画を鑑賞した時のような

 豊かな気持ちに満たされた。

 

 言語で絵画が描けるなんて」

 

というような事を言ってくれました。

 

 

むべなるかな。

 



そして、やはり和歌は

時間軸の把握に秀でていますね。

 

名残惜しく春を送り、

さて今日から夏に、夏山に向かう。

 

瞬間ではなく、時間の流れと

それに沿った心の変化を

丁寧に汲み取る詩型です。

 


逆に、俳句は

瞬間の切り取りに秀でている

と言われます。
 
 

「花鳥の」は

『玉葉和歌集』夏部巻頭歌、
立夏の歌です。

 

「首夏」とは夏のはじめ、

または陰暦四月のことを指すそう。


今年の立夏は5月5日ですね。

 

 

 

 

花鳥のあかぬ別れに春暮れてけさより向ふ夏山の色

 

 

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