東工大で三國清三シェフと松木直也氏の講演会 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

東工大で三國清三シェフと松木直也氏の講演会

5月21日(月)。東京工業大学の世界文明センター「レクチャーシリーズ2012」で「オテルドゥミクニ」オーナーシェフの三國清三氏と作家・編集者の松木直也氏の講演会がありました。

パンフ


タイトルは、「震災以降の食育活動」。

JRのつり革広告でも出していた講演会だったので、教養の単位をとるための学生さんから、一般の社会人、地域の方など、いろいろな方が参加されていました。

世界文明センター所長のロジャー・パルバース氏からのご挨拶。

所長


三國清三シェフ。

三國


シェフとともに食育活動を進めていた松木直也氏。

松木


お二人がリーダーシップをとって、震災以後に実施した被災地での食育の授業について、たくさんの現地の写真を織り交ぜながら、ご紹介くださいました。

イタリアで始まったスローフードの運動を、日本に持ってきたときに、第一号の指定都市として名乗りをあげたのは、宮城県の気仙沼市だったそうです。

そこで気仙沼市では、子どもたちのプチシェフコンテストを始めました。委員長は三國清三シェフ。

キッズ


震災の年は、ちょうど10年目の記念の年だったそうです。

震災2週間後に、松木さんは気仙沼に入り、現地を見て、教育委員会の方などと打ち合わせをして、東京に戻ってきて、三國シェフに報告。

現地の方の迷惑になってはいけないので、すぐに炊き出しに行くのではなく、少し落ち着いたころに、自分たちは、被災地の小学校で食育の授業をするために行こうと決められたそうです。

半永久的に継続するには資金源も必要ということで、日本フランス料理技術組合、東急グループ様の協力を得て、準備を重ねられ、第一回目は、2011年6月5日に、階上小学校で食育の授業を実施。

弊社も三國シェフがお使いの塩のご提供という形で協力させていただき、そのときの様子は、私のブログでもご紹介いたしました。こちら。

子どもたちは、大人に心配をかけないよう明るく振舞っているのは百も承知なので、三國シェフは、授業中には、子ども達には、「大変だったね」「がんばってね」というような言葉がけはいっさいなさらず、楽しく集中できる授業を心がけられたそうです。

また、給食の時間には、東京で総勢30名で仕込みをしてフローズンにし、当日、現地で仕上げをした料理を、子どもたちだけでなく、子どもたちをケアするためにがんばっている先生方、関係者様にも一緒に食べてもらいたいと、350名にお出ししたそうです。

体育館


おしゃれな紙皿と、チタンに銀メッキのフォーク・ナイフ・スプーンに、ナプキンもつけて、学年単位に、温かいうちに、食べたということ。

メニューは、コーンスープ、野菜とオレンジのサラダ、一人200gのご飯にカレーソースをかけ、150gのハンバーグを乗せてデミグラスソースをかけたもの、ラズベリーのロールケーキ。

ランチ


配膳の最後は三國シェフの担当で、片付けをして日帰りで帰ることを逆算して、1人あたり6秒という時間でソースをかけていったそうです。

シェフ


その後、食育の授業は、2011年10月に女川市、2012年3月に福島県のいわき市の小学校で実施。

この後は、食材を作っている生産者さんとも協力して実施しようということで、2012年9月には宮城県の唐桑で海鞘(ほや)の養殖をしている漁師さんとの懇談会も企画されているそうです。

宮城県のほやは、日本一おいしいということですが、サルベージ船が海中のがれきを撤去して来た、そのがれきの中から、漁師さんたちは、ほやの種をみつけ、養殖を開始したそうです。食べられるまでに育つのは、4年後ということ。

その様子を紙芝居にして、子供たちに見せて伝えていこうと企画されているそうです。

ほやというのは、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の五味がある食材。

北海道の増毛で育った三國シェフは、浜辺で食べたほやの味で、味覚を鍛えたということで、気仙沼の「ほや大使」にも就任されているそうです。

味覚は8歳までに育てる必要がある、味覚をということで、小学生の味覚教育を重視しているシェフ。今後、5~10年、年3回、継続する計画ということでした。

私も三國シェフがお使いの塩のご提供という形で、今後も継続して協力したいと思っています。

そうそう、ほやは、鮮度がひくくなるとアンモニア臭が出てくるので、くれぐれも新鮮なうちに食べてください、ということ。

そして、海鞘(ホヤ)や鮎(アユ)には、苦みがあるので、飲み物は、ラガービールが一番合うということでしたよ。