「魚に塩を振って放置している間にアミノ酸が増える」 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

「魚に塩を振って放置している間にアミノ酸が増える」

ちょっと古くなりますが、2010年2月23日のブログ で「焼き魚の塩」に適している塩について、以下の文献をご紹介しました。

『こつの科学―調理の疑問に答える―』(発行:1971年・著者:杉田浩一先生)より。

「焼き魚の塩」

「食卓塩や特殊精製塩よりも、1%程度のにがり分を含む普通の食塩の方が焼き魚には適している」


「にがり」の主成分はマグネシウムです。

また、2010年2月24日のブログ でも、焼き魚の塩について、次の文献をご紹介しました。

『マグネシウム健康読本』(発行:2006年、著者:横田 邦信先生)より。

「なぜ焼き魚のプロは粗塩を使う?」

「マグネシウムを豊富に含む粗塩を使うと、食材の旨味が逃げ出しません。これは マグネシウムが「味の保護砦」を作るからです。・・・粗塩を使った焼き魚がおいしく、マグネシウムのない食塩で焼いた魚がおいしくない理由は、ここにあるのです。」


これらに関連して、「小堺化学工業株式会社オフィシャルブログ 」に、成瀬宇平先生(鎌倉女子大学名誉教授)がお書きになった「塩を振って放置している間にアミノ酸が増える」という記事が掲載されていましたので、引用して、ご紹介します。

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《塩を振って放置している間にアミノ酸が増える》

魚を焼くときに塩を振ってしばらく放置して、塩を魚の身に浸透してから焼く。

放置しておく時間は、魚の種類により異なる。

たとえば、サバのようにイワシやサンマに比べれば、やや大形の魚は、焼く30分~1時間前に塩を振って冷蔵庫で保存することが多い。

イワシやサンマでも焼く10分~30分に塩を振って置いたほうが塩の身肉への浸透はよい。

塩を振ってすぐに焼いたほうが美味しいという人もいるので、必ず焼く何分前に塩をしなければならないという決まりはない。

しかし、塩をしてしばらく放置しておくと、塩が身肉に浸透するばかりか、この放置している間にたんぱく質分解酵素が働いて、うま味成分でもあるアミノ酸が増える。

また、この間に塩がたんぱく質(アクトミオシン)の結合を網目構造に変え、ゲル状になるので、焼いたときに食感にやや弾力が発現する。

下記のデータは、日本料理研鑽会がアマダイに塩をしたときのアマダイ5g当たりのアミノ酸量(グルタミン酸として算出)である。

食塩の振る量は切り身の重量に対して3%で、塩を振ってからは冷蔵庫に保存した。(柴田日本料理研鑽会「専門料理」より)

アマダイ(塩を振る前) 29mg/5g
塩をして1時間     132mg/5g
塩をして4時間     150mg/5g

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ここには、どんな塩とは書かれていませんが、日本料理の方が塩焼きに使う塩は、基本的に粗塩でしょう。

「おいしさ」の計測というのは難しいことですが、うま味の成分・アミノ酸の量の違いとして、違いが検証されているのですね。

「わじまの海塩」を使って、おいしい焼き魚を召し上がってください。