原子炉の冷却を海水から真水に切り替え―技術者からの声
3月13日に、「海水で原子炉の炉心を冷却するリスク―製塩士より―
」という記事を書きました。
福島第一原発で、原子炉の炉心溶解の恐れを回避するために、海水を注入して冷却するという決断をしたということについて、
輪島の製塩士・中道肇の指摘として、
・とろみのある溶液は、期待する冷却効果を失う可能性があります。
・海水を高温で蒸発させると、最初に、カルシウム系が結晶します。これが設備に付着することでの危険性もあります。
・海水に含まれる鉱物は、高温で電気を発生させ、弱っている設備にダメージを与えます。
と書きました。
12日、13日の当時は、テレビでも新聞報道でも、どうしてもっと早く海水を使わなかったのか、これで安心、というムードで、誰も海水のリスクを指摘する人はいなかったのですが・・・。
24日(木)に、原子力発電所の作業員が地下にできた炉内の水漏れによる水たまりで被爆した事件を受けて、25日(金)からは、海水による配管や電気設備の腐食などを避けるため、真水に切り換える作業をしているそうです。
26日(土)の読売新聞では「1~4号機 真水注入急ぐ」の見出しで「海水から切り替えへ」「電源系損傷の恐れも」という記事が出ていました。
そこには、海水注入のデメリットとして、以下があげられていました。
・圧力容器や貯蔵プールに塩がたまり、冷却効果が弱まる
・海水中の不純物で配管に目詰まり
・塩分で配管の腐食・破損
・塩分でケーブルの腐食・断線
「だから言ったじゃないの~」と私がいまさら言ってもしかたありませんが・・・。配管の破損による水漏れで、放射性物質が漏れ、被ばく者まで出てしまったのだとしたら・・・、自分の無力感を味わってしまいました。
塩を作るときに釜を使っているところは、薪や石油を使い、釜で海水を高温にするので、その釜の腐食や水漏れに苦労して、必ずメンテナンスをしています。
釜の海水の中で、海水中の鉱物によって稲妻のような電気が走り、弱っているところに命中すると、そこから水漏れが起こるんです。
(弊社の製塩所は、上からランプを当てて、低温でじっくりと、海水の表面から蒸発させる方法なので、海水を入れている水槽の腐食がないというメリットがあるんです。)
原発や放射能については、不安をあおるようなことを言ってはいけないというようなムードになっていますが、知っている技術者が声をあげることは、やっぱり必要ですね。
技術者の声ということで、つつみ純子 さんが、facebookで以下の記事を紹介なさっていました。
1973年3月~1980年6月の7年4ケ月、米国の原発関連会社GETSCO(=GE)の原子力事業部極東東京支社企画工程管理スペシャリストとして東海原発2号、福島第1原発6号機の建設に広く関わっていたという菊地洋一さんの講演内容 です。
2003年のものですが、現在の原発や東電の状況に合点がいくようなことばかりです。特に、次のようなことが書かれていました。
「原発の工事現場では、電力会社が一番上にいて管理しているわけですけれども、実際に工事するのは、原発メーカーの人達が管理してやっておりますし、いろんな不具合が出てきたときには、自分たちに不利な事は当然お客さんの電力会社には隠しておくようにします。」
「原子力発電所が動いている限りは、被曝労働者を必要とするのです。必ず自動車でも車検がくると、高いお金かけて車を整備してもらいますけど、原発も毎年止めて、炉を点検して修理したりしなければいけないのですけれど、これが大体が被曝作業なんですね」
「炉の中だけじゃなくそれを回すポンプの分解、修理、点検。その時は遮蔽も何も設けられません。ですから、GEの下請会社で一番詳しい原子炉の開発者たち、ポンプメーカーの従業員はもう10年前、僕が働いていた時の人間はだれもいません。みんな被曝して嫌だから辞めていっています。」
「初期のころのエンジニアは原子炉の真下に入ってする仕事なんです。メンテナンスする時に、頭から原子炉の水をかぶりながらやる仕事なんですね。だから被曝しないわけはない。最新型のものは自動的にやるような設計になっていると思うのですけど、古いタイプはみんな頭から水をかぶるような設計になっている。」
「原発のそういう所で仕事やる時はですね、3点セットというのがあって、フィルムバッチとアラームメーターとポケット線量計。この3つを付けるという話がある。その3点セットをはずして記録が残らないようにする。それ付けていると、もう仕事にならないですよ。」
菊地洋一さんは、温泉大国・日本で、地熱を使った発電について推奨しています。長い内容ですが、ぜひ原文を読んでみてください。→ ★
福島第一原発で、原子炉の炉心溶解の恐れを回避するために、海水を注入して冷却するという決断をしたということについて、
輪島の製塩士・中道肇の指摘として、
・とろみのある溶液は、期待する冷却効果を失う可能性があります。
・海水を高温で蒸発させると、最初に、カルシウム系が結晶します。これが設備に付着することでの危険性もあります。
・海水に含まれる鉱物は、高温で電気を発生させ、弱っている設備にダメージを与えます。
と書きました。
12日、13日の当時は、テレビでも新聞報道でも、どうしてもっと早く海水を使わなかったのか、これで安心、というムードで、誰も海水のリスクを指摘する人はいなかったのですが・・・。
24日(木)に、原子力発電所の作業員が地下にできた炉内の水漏れによる水たまりで被爆した事件を受けて、25日(金)からは、海水による配管や電気設備の腐食などを避けるため、真水に切り換える作業をしているそうです。
26日(土)の読売新聞では「1~4号機 真水注入急ぐ」の見出しで「海水から切り替えへ」「電源系損傷の恐れも」という記事が出ていました。
そこには、海水注入のデメリットとして、以下があげられていました。
・圧力容器や貯蔵プールに塩がたまり、冷却効果が弱まる
・海水中の不純物で配管に目詰まり
・塩分で配管の腐食・破損
・塩分でケーブルの腐食・断線
「だから言ったじゃないの~」と私がいまさら言ってもしかたありませんが・・・。配管の破損による水漏れで、放射性物質が漏れ、被ばく者まで出てしまったのだとしたら・・・、自分の無力感を味わってしまいました。
塩を作るときに釜を使っているところは、薪や石油を使い、釜で海水を高温にするので、その釜の腐食や水漏れに苦労して、必ずメンテナンスをしています。
釜の海水の中で、海水中の鉱物によって稲妻のような電気が走り、弱っているところに命中すると、そこから水漏れが起こるんです。
(弊社の製塩所は、上からランプを当てて、低温でじっくりと、海水の表面から蒸発させる方法なので、海水を入れている水槽の腐食がないというメリットがあるんです。)
原発や放射能については、不安をあおるようなことを言ってはいけないというようなムードになっていますが、知っている技術者が声をあげることは、やっぱり必要ですね。
技術者の声ということで、つつみ純子 さんが、facebookで以下の記事を紹介なさっていました。
1973年3月~1980年6月の7年4ケ月、米国の原発関連会社GETSCO(=GE)の原子力事業部極東東京支社企画工程管理スペシャリストとして東海原発2号、福島第1原発6号機の建設に広く関わっていたという菊地洋一さんの講演内容 です。
2003年のものですが、現在の原発や東電の状況に合点がいくようなことばかりです。特に、次のようなことが書かれていました。
「原発の工事現場では、電力会社が一番上にいて管理しているわけですけれども、実際に工事するのは、原発メーカーの人達が管理してやっておりますし、いろんな不具合が出てきたときには、自分たちに不利な事は当然お客さんの電力会社には隠しておくようにします。」
「原子力発電所が動いている限りは、被曝労働者を必要とするのです。必ず自動車でも車検がくると、高いお金かけて車を整備してもらいますけど、原発も毎年止めて、炉を点検して修理したりしなければいけないのですけれど、これが大体が被曝作業なんですね」
「炉の中だけじゃなくそれを回すポンプの分解、修理、点検。その時は遮蔽も何も設けられません。ですから、GEの下請会社で一番詳しい原子炉の開発者たち、ポンプメーカーの従業員はもう10年前、僕が働いていた時の人間はだれもいません。みんな被曝して嫌だから辞めていっています。」
「初期のころのエンジニアは原子炉の真下に入ってする仕事なんです。メンテナンスする時に、頭から原子炉の水をかぶりながらやる仕事なんですね。だから被曝しないわけはない。最新型のものは自動的にやるような設計になっていると思うのですけど、古いタイプはみんな頭から水をかぶるような設計になっている。」
「原発のそういう所で仕事やる時はですね、3点セットというのがあって、フィルムバッチとアラームメーターとポケット線量計。この3つを付けるという話がある。その3点セットをはずして記録が残らないようにする。それ付けていると、もう仕事にならないですよ。」
菊地洋一さんは、温泉大国・日本で、地熱を使った発電について推奨しています。長い内容ですが、ぜひ原文を読んでみてください。→ ★