輪島の漆芸家・古込和孝さんの漆作品をご紹介します
輪島で世界を目指している仲間・漆を使った作家の古込和孝さんから、久しぶりにメールがきて、実はホームページを自分で作ったんです、というお知らせがありました。
古込和孝さんは、沈金、漆絵、螺鈿、変わり塗をし、自分でデザインしてプロデュースまでしているという方。輪島には「輪島塗」が有名ですが、古くからの「輪島塗」の伝統にこだわらず、古典の技術を生かしながらも、漆の新しい表現に挑戦している方です。
昭和52年(1977年)生まれの33歳。私の起業の理由のブログ記事 に登場する、三國清三シェフ率いる「世界料理オリンピック大会」のジュニア部門の展示に使われた漆の器やディスプレイをデザイン・制作した漆芸家さんです。
この秋には、ロンドンの日本大使館で展示会をしたり、大英博物館やビクトリア&アルバート博物館で実演をしたり、王立美術学校で、沈金の体験教室をしてくる、ということなんですよ。すごい!
漆器は、英語で「japan」。小文字ではじまる「japan」です。日本を代表する芸術作品だけど、今は、日本よりも海外の方が、むしろ理解が深いのかもしれませんね。
先日の長野の美術館めぐりから、芸術づいているので、古込和孝さんの作品を二つ、ご紹介します。
タイトルは「月夜」。少し早いけど、秋らしいでしょう。
蓋には、正面を向いた鈴虫。蓋を開くと、ススキが一面に広がっている様子です。
これは、「香合」といって、香を入れる器。でも、小物入れにしてもいいし、何も入れずに、飾って、見て、楽しんでもかまいません。
普通は、ボディに、木をくり抜いたものや朝布をつかったりしますが、これは、すべて和紙だけでできているのだそうです。
木型などに和紙を入念に貼り重ね、型を抜いてボディとしたもの。「貼り抜き一閑(はりぬきいっかん)」という技法です。
和紙でボディを作ってから、漆を薄く塗って、その上に棕櫚の木(しゅろのき)の繊維を塗り、さらにその上から、キラキラしている貝を貼り、緑色の漆を3回ほど塗り、桐の木の炭で研ぎだしてあるそうです。
一つ一つの作品が、技術と芸術性の高さを追求して、精魂を込めて作られています。
そして、これは、「ウズラのひな」という作品です。
沈金の中でも特殊な技法で「毛彫り」という技法。特殊なノミで、毛の1本1本を彫っているそうです。
写真だとわかりにくいかもしれませんが、ヒナ鳥のうぶ毛の、たよりない、ふわふわとした柔らかさ、温かさまで伝わってくるようなんです。
「毛彫り」というのは、輪島では一子相伝の技法だそうです。彫るためのノミもご自分で作っているそうです。彫っているときの様子は、技が盗まれないように、,誰にも見せないそうです。
実は、この「うずらのヒナ」の作品は、私が会社員時代、起業を決めたころに、所沢西武の展示会で一目惚れをして、ボーナスで買ったもの。
小さなパネルに施した沈金だし、まったく高いものではありませんでしたが、作ったばかりのノミで制作した始めての作品ということ。この作家さんは、いつかビッグになるだろうと信じて、先行投資(?)しちゃいました。
今はもう同じ値段では買えないぐらいに成長なさいました。
輪島から世界を目指す・・・志が同じ仲間。もっともっとビッグになってほしいものです。
古込和孝のホームページ:
http://www3.ocn.ne.jp/~zikichi/index2.html
(こちらから作品の購入もできます)