私の一番好きな韓国ドラマに、

「マイディアミスター~私のおじさん~」というドラマがあります。

 

最近またアベマTVで、順々に無料で観られる期間になったので、

観ています。

今迄3回観ています。尤も、初め2回はテレビで見ていて、

最初は3話目から、2回目は2話目しか観られなくて、

3回目でやっと初回から観られたのもありますが。

 

決して明るいドラマではありません。

辛くて暗いシーンが多いんですが、

脚本が凄いなと思います。

よくこんな脚本が書けるなぁと思います。

沢山の登場人物が出てきますが、其々に人物を丁寧に描いている。

どの人も完璧な人はいなくて、凸凹もしているけれど、

人間関係の中でも其々の立場や辛さ、考え方などを、

丁寧に描いていて、

登場人物の性格、人間関係の温かさやわずらわしさ、人生などが

良く描かれているなと思います。

(中学3年の時に、「風と共に去りぬ」を読んだんですが、

その時にも、人物の性格をとてもよく描いているなと思いましたが。

テレビのロードショーで映画を観て、テレビの調子が悪くて

2/3くらいしか観られなかったのに凄く感動し、

原作本全5巻を持っていた友達に借りて、

徹夜したりしながら一気に読んだんでした。

中三の1月で、受験の直前だったのに。(笑)

あれは映画だと恋愛映画と言うイメージですが、

小説は戦争小説とカテゴライズされているようで、

南北戦争を詳しく描いてもいます。)

 

このドラマは良くヒーリングドラマと言われているようですが、

そこから想像するような穏やかに癒される感じとは違います。

セリフがとても丁寧です。それは人物にもよるんですが。

昨日観ていた14話の中の、

主人公の40代前半の部長のセリフに驚きました。

少し書き出します。

場面の説明が要りますが、

いつもその課は部長を中心に皆仲がいいんですが、

飲み会の終わり掛け、残っている人もまばらなった頃に、

部長の部下の男性社員が若い女性主人公の契約社員に平手打ちをされます。

その話を聞いて、部長はなぜ平手打ちしたのかと若い女性社員に尋ねます。

すると、女性は「部長の悪口を言っていたので。」と答えます。

 

その後の部長のセリフ

「誰もが陰口をたたく。親しくてもだ。俺も悪口を言う。

しかたがないことなのに、なぜ告げ口を? 気まずいだろ。」

「すまない、俺から聞いておいて。」

「ありがとう。殴ってくれて。」

 

これ、其々の人の状況や気持ちを言い表していて、すごいと思いました。

勿論、これはドラマなんで、作家が時間をかけて練って書いているセリフで

作られたものですが、

各人の気持ちを代弁したり表したりすることって

難しいです。とっさにそれが出来る人っていうのも

現実には中々いないですが。

最初のは、悪口を言った人の立場と部長本人の気持ちを表して、

二番目のセリフは、無理なことを言った事を女子社員に詫び、

最後のは、自分(部長)の為に怒って殴ってくれたことに礼を言っている。

(部下の男性社員には、これとは別に、

部長本人が怒って且つ和解している。)

そもそもそういう考えが無ければこのセリフは出ない訳で、

そういう人物として描ける、と言うのが深いな、と。

コミュニケーションと言うのは、難しいもので。

また、韓国の人と言うのは、例えば日本人よりも、

状況や気持ちを表すという事が、日頃からありがち、

長けているのではないかと、他のドラマを観ても思います。

国民性もあるので、どちらがどうと言う物ではない面もありますが。

 

抜き出した場面は一つのシーンでそう重い場面でもないですが、

脚本全体として、凄いなと思います。

全体として随所にものの本質をとらえた深い描き方をしていて、

そして最後には、すごいハッピーエンドではないけど、

希望を感じる終わり方。

苦しみの中でもがき苦しんでいた登場人物たちが、

努力の末、其々に報われて、明るい未来に向かう姿。

それが中々リアルで、人間や人生を深く描いていて大好きなドラマです。

(シリアスばかりでなく、笑えるシーンもあります。)

大人として、周りの人々、特に自分より若い人たちに、

どの様に接するかを考えたりしたドラマでもありました。

お勧めです。

 

主役のイ・ソンギュンさんが、

昨年末、自殺されてしまって、本当に残念でしたが。

真相は分りませんが、事実がどうであっても、

そんな結末を迎えるような事ではなかったと思うのに。

 

書き出したら、記事が長くなってしまいました。