今回は私の感じる体の使い方が上手な人の基準です!
私はこの職業柄人の体の使い方を見るのがクセになっていて、普通の人なら体の緊張がどこにあるか(治療するならどこから攻めるか)が目につき、アスリートやプロと言われる人を見る時は体の使い方を観察してしまいます。
そこでわかるのは一流系の人間の体の使い方は一般人とは大きく異なるという事です。
それは歌手でもアスリートでも職人でも変わりません。
それでは一体どこが違うのでしょうか?
それはその動作や技術、動きをする時に本来使うパーツを使っていない所です。
この言葉だけでは意味不明ですよね。
例えば肉眼的にみれば
手を使う作業で手を使って(意識)していない。
走る時に使うはずの足を使って(意識して)いない。
歌う時に使う喉以外を意識している。
目で見ているけど集中して見ていない
要は手を使っているけど使っていないというような禅問答の様な状態を行っているのです。
普通なら手作業のときなら手だけを意識したり、歩くときは足を意識して歩くのが一般的です。
誰しもがそう行っています。
私たちの鍼灸の世界では確実にその意識が技術として行われており、例えば私は人を触る時下半身の体幹しか意識していません。
手は感覚的にはほとんど消えてなくなっています。
そうでない場合はうまく相手の生体反応を感知することが難しくなります。
他にも以前見たテレビに出ていた寿司の職人が「寿司は背中で握る」と言っていました。
その言葉だけでも私は感動したのですが、実際にその握りを見ると本当に手ではなく背中に意識がありました。
寿司を握るのは普通手ですよね。
その手を意識せず背中を意識する。そうすると手の強張りや余計な緊張がなくなり、非常に繊細でやわらかな手の使い方ができます。
職人の手の使い方はまさにそれで、手が柔らかなクッションかの様に繊細で食材を大切に扱っているのが目に見えてわかりました。
おそらくこの人は寿司を握るのを芸術作品を作っている様な感覚なのではないかとさえ思いました。
しかしテレビでは背中で握っていると言って手で握っている姿を写すだけです。だから皆達人が達人たる所以を理解する事はできません。
理解できるのはおなじ体意識の道を歩く人だけです。天才という言葉でこう言った技術は片付けられてしまいますが、ほとんどの場合この事実を知らないからだと思っています。
では一流がその意識を持っているのはわかったけど一般人にはできないのではないの?となりそうですが、
実はそうでもありません。
さすがにプロと同じと言うのは難しいですが、軽いレベルなら練習さえすれば体意識の理解ができる様になるのです。
その簡単な方法は日常で常に背中を意識する事です。
ポイントは以前の記事でも書いた「〇〇があるなぁ〜」です。
これを背中の意識にして何をするにも背中を意識したまま生活するのです。
基本的に体意識は本来その動作で使うはずのパーツを別の意識をする事で「使っているけど使っていない状態」にして精度を上げるのが基本です。
これができる様になると疲れずらい体の使い方になり、日々の日常生活がグレードアップします!
例えば手を使う作業で当たり前に手の意識を持って作業している場合、
・手の緊張が強いと肩に力が入ります。
・肩の力が入ると肩甲骨が巻き肩の形になります。
・巻き肩になると胸椎と腰椎辺りから背が丸くなります。
・背が丸くなるとそれを支える腰が緊張して固まります。(性格や個性により反り腰にして姿勢が良い様に見せる人もいます。)
・背が丸いという状態を立って行うと下半身の足の前面の筋肉が疲労し固まります。
人間は普通に生きているだけで疲労し体が歪む様にできているのです。
手を使わないという事を意識する練習をすると、この負の連鎖の始まりを防ぐことができる様になります。
これは色々な事でも活用できます。
喉だけを使っているとすぐ消耗し潰れてしまう喋り方や歌い方でも消耗が最小限になります。
長時間手作業で肩こりを起こすことも少なくなります。
歩く時もすぐに疲れづらくなります。
これに関しては恩恵しかない様に感じます。
ただどんな事をするにも背中の意識を持つというのは容易ではありません。
物を取る時、考えている時、移動中、会話している時も背中の意識を持つ。
これはやってみると分かりますがすぐさま意識が途切れ本来の自分の使い方に戻ります。
体の使い方は脳の使い方。まだこの意識がシナプス的にも脳に定着していないからです。
ですから挑戦心のある方は初めからできると思わずコツコツとやってみてください。
最初は動作をするときだけ背中の意識を強くするだけでもいいと思います。
それだけでも全然違います。
少しずつしか変わりませんが、意識した時間だけ体が変わっていきます。
今回は体の変革のような激ムズの内容でしたが、かなり本質的で効果のある方法です。
こう言った説明に時間がかかる様な事は施術ではあまり伝える事はできないので小ネタとして載せたいと思っています。
また載せていきますね!