お待たせいたしました
今回新たにここ2年以内の貨幣商組合鑑定の円銀の誤判率調査のため無作為に36点仕入れ調査を実施いたしました
これまで貨幣商による近代銭の誤判率3割程度とお知らせしてまいりましたが今回の調査を終え少々修正させていただかなければならないことが明らかになりました
その的中率はなんと!巷の占い程度!!
せめて天気予報くらいの的中はしているかと思っておりましたが現在の贋作事情には全く追いつけていないと言うことが判明いたしました
もちろんこの的中率は貨幣商に限ったことではございません
海外グレーディング社の日本銭の鑑定は事実上全く出来ていません
皆さんにとって少々衝撃的な結果かもしれませんがこれが現実です
どこのお店、、とは言いませんが、先日とある貨幣商にスラブ贋作の返品請求を代行させていただいた際、 「 真贋はどうでもいい事、売れるかどうかが問題 」 という事を言われ驚愕いたしました
しかしこれが彼等の本音なのかもしれません
恐ろしいことです
当初それぞれの個体毎に詳細の説明をさせていただく予定でおりましたが、いくつかの決まったパターンのものに分かれますためパターンごとに説明させていただきます
その前に真贋の判定の基準などについて説明いたしておきます
まず最も重要、且つ絶対的判断基準ですが、当方の鑑定をご利用いただいております方はご存知の通り その個体の原材料精製時期、精製方法です
当方では主要元素の含有比は判断の材料とはしておりません
なぜなら贋作の多くが品位もおおむね真品と同程度の原材料を使用しているからです
当方での判定材料は0.1%未満の極微元素含有比です
当然個体毎に汚れや酸化の状況により同じものはひとつとしてございません
また測定ポイントごとにもかなりの差がございます
しかしながらいくつかの微量元素の含有比率にはその精製方法、精製時期ごとにある一定のパターンがあり分析時のスペクトル波形パターンは共通いたします
もちろん個体毎に特定の元素が突出することは良くあることですがこうした特異物質の多くは単純付着物であることが圧倒的ですので異なるポイントを検証したり逆に付着物と思しきポイントだけを分析したりし突出組成が付着物由来なのかそうでないのかを判定いたします
↓ こちらは表層部 地金箇所の組成を調べたものです
↓ そしてこちらが表面付着物の組成を調べたものです
こちらはEDX(エネルギー分散型分析装置)でのデータとなりますが、当然蛍光X線によりますデータも同様に様々なポイント、深度までの組成データを収集いたします
分析方式などの詳細につきましては省略させていただきますので各自ウェブなどでお調べください
EDXでの分析が極表面のみの組成であるのに対し、蛍光X線による分析は内部2mm前後くらいまでのデータとなりますためそれぞれの特性の差を利用し、色揚げの状態、酸化や汚れの具合、磨耗度などがデータからもわかります
こうして膨大なデータを集積することにより個々の原材料の精製時期や精製方法がわかるのです
当方では蛍光X線での近代国産銀貨だけで10万ポイント近い組成データを保有いたしており新規検証品は常に過去データと波形パターンや特定元素の数値などでの照合を行っております
こうして得られた結果は絶対的と言ってよいもので、この後に続く検証で仮に全てOKであったとしてもこの項目がNGであればそれは100%贋作なのです
だってそうでしょう?
例えば明治初期年号の銀貨の地金そのものの精製時期が昭和であったらどんなに完全な姿であろうが雰囲気があろうが100%贋作(ここでの贋作はあくまでも通用貨幣としての判断であり、当時の造幣局のマシンと鍛型を使った造幣局によります復刻が仮にあったとしてもそれは復刻品であり流通貨ではないのです)と判断されます
もちろんこれだけの説明ではお客様もデータの読み方をはじめどの元素がどれだけ?といった蓄積がない方には全く理解も納得も出来ないでしょうから当方では他に製法や銭文そのもの酸化磨耗の状況などいくつもの情報の中から贋作とわかる情報を見つけ出しレポートにはその点一緒に記載させていただいております
次回は画像などを添えいくつかの贋作パターンなどについて公開いたします

