栗東出土 延喜通宝 破壊検査 | 和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

和同開珎をはじめとする皇朝銭のことなら!!!

滋賀県栗東市出土の延喜通宝を破壊検査してみました

今回の検体 延喜通宝 です

ご覧のとおり酸化の激しい個体ではございますが、よく見ると延喜通宝の文字もなんとか判読可能です 

非常に品位ムラがあり、同一個体上で鉛質の部分と銅質の部分に分かれております

赤丸の破片は銅50%ほどなのに対し 黄丸の破片は銅がわずか10%程度しか含有いたしません

同一個体上でこれだけの品位ムラが確認できるのは延喜通宝と乹元大宝の2銭だけですのでこの時代の鋳銭がいかにいい加減であったかと言うことがわかります


半面を研磨してみます

鉛質の部位は恐ろしいほど脆く、あっという間に粉々に砕けてしまいます

鉛といっても既に成分の多くが溶出してしまっており

新しい時代の鉛とは明らかに質が異なることが判ります

青丸部分に違う色の部分があるのがわかりますでしょうか?

ここが鉛部です

このように銅素材の中に鉛部が点在しており、鉛と銅が完全に分離しております

拡大してみますとよりはっきりとわかります

色が異なるのが判ります

ピンク色の部分が銅主体部

白っぽい色をしたところが鉛主体の部位です





鉛部をさらに拡大してみますと・・・

今度は銀色の鉛部の中に小さなピンクの粒子が点在するのが観察できます

これは鉛の中に、銅の微粒子が、やはり溶けることなく点在しているものです

現代の合金ではこんなに低品位の金属はまずないでしょうね・・

この構造の再生は現代では逆に困難でしょう

研磨片を極薄に研磨し、顕微鏡で観察できるよう、プレパラート作成します
ガラスに貼り付け、あとはひたすら透けて向こうが見えるようになるまで薄く研磨してゆきます

機械で削れればよいのですが、脆い標本のため、手作業になります

根気の要る作業です

目下黒川の皇朝銭鑑定に追われておりますので息抜きに少しづつ進めてゆきます

完成しましたら画像Upします


茨城県鹿嶋市厨台遺跡出土 饒益神宝 と思われる破片の公式な分析依頼もいただいており、内部分析を進めながら最終的には同様のプレパラート作成をしようと考えております

饒益神宝と思しき破片は完全に腐食しているのですが、もしかしたら研磨を進めてゆく間に文字など浮かび上がってくるかも・・・


最終的には14銭(古和同開珎銀銅含)全ての破片+富本銭バリ片で同様の内部分析と構造検視をし、結果をまとめてゆく方向性でおります

目下古和同開珎銅銭の破壊検査検体を探している最中

どちらかで検体提供してくださるところはないものか・・・