贋物を科学する。。 | 和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

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今回鑑定書つき、贋物スーパー円銀を科学してみます


今回用意したものは秤、水を入れるカップ(測定したいものが入るものであれば何でも良い)ちなみに今回は500mmのペットボトルをざっくりと半分に切っただけのものです

あとは糸と水。。

これだけで比重を求めることができます


まず糸(なるべく細く軽い糸が良い)太かったり重いと計測値に影響が出てしまうので理想は繭糸1本でしょうが今回は細いミシン糸で代用しました
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銀貨をぶら下げて落ちないように結びます
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秤の上に水を入れたカップを載せます(測定したいもの(今回は銀貨です)が完全に浸ることができる量の水を張ります)

水の量は適当でよいです

その状態で秤のカウンターを0にします

0設定できない場合はその数値を控えておきこの後の重量からその数値を引けば大丈夫です

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糸でつるした銀貨をそっと水中に沈めます

気をつけることはまず、この1点目計測時、銀貨はカップに触れないようにすることです

また注意点その2として銀貨は完全に水没しているということです

こうして求められた数値 2.62g。。

これが、銀貨の体積と同じ水の重量となります(実際は結んだ糸の水没している部分を含みますが・・)

水は1ccで1g(温度での誤差は今回省略させていただきます)

糸の分の誤差、および計即時の気温28度ですので若干の誤差はございますが、そこは無視してみますと円銀体積 2.62立法センチということになります
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次に水の中で完全に浮かせた状態の銀貨を今度はカップの底に静かに置きます

この時も糸分の重量誤差が出てしまいますが、今回は補正をせず無視することといたします

このときの数値が、銀貨の重量となります
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比重=重量÷体積  ですので

10.305343・・・となります


円銀の品位は銀 900  銅 100 です


銀の比重 10.5

銅の比重  8.93


となりますので 銀銅が9:1の合金の比重は10.343となり先ほど求めた比重と比較的近い数値と言えます

つまり品位はほぼ銀900銅100の合金でしょう、、、ということになってしまいます

組合の鑑定を含む多くの場合ここで品位はOKということになってしまうのです


ところがこの個体表面を分析してみるとご覧のとおり おおよそ 銀97.5%銅2.5%となりこの数値の金属比重を求めると 10.46075とならなくてはおかしい

しかし実際測定した比重は 10.305343 と、上の比重より低い数値である

これが何を意味しているか。。。

比重10.2前後の地金に比重10.46強の銀銅をメッキしているのでしょう

比重10.2前後の金属、、モリブデンがちょうど10.2 他に可能性は11.34の鉛にアンチモニーなどを加えた硬質鉛と呼ばれるものに鉄などを混ぜた合金で比重10.2に調整することは可能です

いずれにせよ、安価な金属で銀の比重を出すことは可能と言うことです


鑑定書付きの本物とされる円銀を破壊するのは勇気のいることですが、次回はいよいよ実際にこの円銀を破壊して内部の分析を行ってみたいと思います


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