嫌なこともあればいいこともあって、27日は林真理子先生のお誘いで鮨三谷で会食

ワインやお酒とのマリアージュを楽しむということだが、調味料を使わず、素材で不思議な味を作っていく

創作料理のつまみというとMatsuhisaとかいうことになるのだろうが、ここはそれを和で実現している

やはりどんな世界にも天才がいるということだけはよくわかった

この会は、名前は伏せるが林先生の知り合いのスーパースターも来ていた

予想通りというか、予想外に性格のいい人で嬉しい

私も、マーカシン・マーカシンのシャルドネを持って行ったのだが、これまで飲んだ白の中でいちばんおいしいと言われるとお世辞でも嬉しい

アメリカはカベルネばかりが注目されるが、やはりトップはすごい

実は、今月は8日にも金沢のめくみに行ってきたのだが、全然、別のすごさがある

これは昔のブログに書いたことだが、それがさらにグレードアップしていた

トロトロののどぐろはやはりここでしか食べられないし、脂ののりきった新鮮なマスをトロの代わりに使うのが、逆においしい

震災の時期に不謹慎と言われるかもしれないが、最近の世の中というのは、みんなが同じ感情にならないといけないという暗黙の強制のようなものを感じる

感情というのは本来プライベートなもののはずなのに、みんなが悲しんでいる時は悲しみ、喜んでいる時は喜び、つまらない芸人でもみんながおかしいと言えば笑う

そうしないと、性格が悪いとされてしまう

しかし、東日本の震災と、今回の震災では明らかに温度差がある

やはり、人間というものは、自分の身内が被害にあったとか、そういうのでないと本気で悲しむことはできないのだろう。日本人がノーベル賞(これだって外国の審査委員が、都合のいい人間を選ぶ。日本の金でした研究を海外に持ち出すようなやつにわざと賞を与えたりするが、それを日本人は手放しで喜ぶ。私の親友は、自分の研究のちょっとした試料をアメリカから持って帰ろうとしただけでスパイで訴追されている。これは上司の意地悪によるものだが、海外の人間は自国の知的資源を守るためには必死なのは確かだ)をとったり、オリンピックで金メダルを取ったりしても、嬉しくなることはあっても、喜ばなければ非国民ということはないだろう

こういう感情がネガティブなものであるときは、生保のバッシングとか、不倫をした人のバッシングとか、全員が怒りの感情をもつことを強制される

こういう集団感情が、戦争や独裁を生んできた歴史を忘れてはならない

私が安倍政権下で行われていることの中でいちばん腹を立てているのは、2020年からの入試改革である

私が主宰する『学力向上!の会』の会報エランの連載記事のために、3月31日に出された高大接続システム改革会議の最終報告というのを読んでみたが、本当にひどい内容だ

これまで論じられてきたことを踏襲するだけのものだが、2020年から東大や京大を含めて、すべての大学の入試がAO化される

海外ではアドミッション・オフィスというのは、大学の教員組織とは独立した組織になっている

教授が面接をすると大人しい子ばかりをとりかねないというので、けんかをするような受験生を撮ろうという発想が背景にある

しかし、そんなグローバル・スタンダードは一言も触れていない

そして、これまでの入試は、知識偏重で思考力・判断力・表現力を見てこなかったので、もっと見ようという話になっているが、こういうものに「正解」があるという発想が危険だ

答えは同じでも、思考や判断のプロセスや表現というのは多種多様であるはずだ

それを年寄りで、教授になってからろくに勉強しないくせに、自分ほど賢いものがいないと思っている大学教授が勝手に判断する

ペーパーテストは画一的な人間を作るように言われるが、合格点を取れさえすれば、授業中の態度が悪くても、政治のデモに出ても、数学ができない分英語で稼いでも、その逆でも、合格できる

しかし、プロセス重視型の入試になれば、はるかに狭い範囲の人間しか合格できなくなる

この報告書の43ページに「多様な背景をもった学生を受け入れ」(例として、高校や大学の中退者や学び直しの社会人を挙げている)とあるが、高校の調査票を重視した入試では、高校時代不良だったとか、勉強が嫌いだった人間のチャンスを逆に奪うのは明らかだろう

こんな矛盾が平気で言えるのだから、委員の先生方はどうしてもペーパーテストを否定したいのだろう

これはおそらく中学校も高校も大学も受験せずに、アメリカの大学にいっても一単位もとれなかった偉い人も意向なのだろうが、日本人を犬だらけにして、主体的な考えを持つ人間が東大や京大に入れなくすることが、どれだけ日本の将来に悪影響を残すか考えていない

アメリカの大学もAOだというかもしれないが、犬よりオオカミを入れるようにアドミッションオフィスが独立しているのだ

ゆとり世代の次は、この入試を経たAO世代とか、犬世代と言われることだろう

今の大学教授が面接して、犬でない人間をとることはほぼ考えられない

医学部の入試面接を行った大学で、相次ぐ、医学部教授の不祥事に公開質問状などの形で、かみついた学生はいなかった(面接をやっていない東大にはいた。が、文科省の圧力をいいことに入試面接が復活される)

ただ、世間を知らない教授が面接する、あるいは教授が選ぶAOなら対策を立てていれば勝てる

今年も東大受験の定番ガイド本『2017年度版 新・受験技法: 東大合格の極意』(新評論)を出した

英語、そのほかの傾向の変化に対応するだけでなく、東大の推薦入試の分析と対策を私なりに学生の力を借りて書き足してみた

為政者がひどいことをやった際に、手をこまねいているだけでは負け組にされてしまう

ちゃんとその対策をすることで、少しでも不幸な人を減らすお手伝いをしたいというのが本音である