昨日の話で追加をすると、経歴詐称より、経歴はしっかりしているのに、それをいいことにいい加減なことを言う人のほうがよほど罪だと思う

東大教育学部教授という肩書で、ゆとり教育で学力が上がるなどといいながら、結果がでなくても責任を取らない人とか、コレステロール値が高いほうが長生きしているデータが次々出ているのに、大阪大学医学部教授の肩書で、それをきちんとした調査研究もしないで否定する人とか、内科学会の研修で、講師として太めのほうが長生きをしていても、やせさせろやせさせろと内科医に説く人とかだ

日本人は結果よりプロセスを大事にするから、経歴のようなプロセスのほうが、その結果どういうことが起こったとか、どういう業績を上げたとかより大事なのだろうし、コレステロールや血糖値が低いというプロセスのほうが、長生きや健康な老後より大事なのだろうが、これはだまされやすい思考パターンだと気づいたほうがいい

ケーン氏の問題は経歴詐称より、テレビのコメントが面白くない予定調和だということだろうし(でも、ほとんどのコメンテーターがそうなので目立たない)、経営コンサルタントならクライアントをちゃんと儲けさせたかである。ちゃんと儲けさせているのなら、多少の経歴詐称があっても、クライアントは利益を得ているし、彼を訴えることはできないだろう

みんながつまらないコメントをいうのがわかっていても、話の内容より肩書でコメンテーターをテレビ局は採用する(私にテレビで取材にきて、私の本をちゃんと読んでいたのは、東京のテレビ局だと石原良純氏くらいだ。大阪や地方のテレビ局は本を読んでから取材をするからはるかにましだ)から、肩書が騙された場合は、すごく腹が立つのだろうが、内容が面白いなら、コメンテーターをおろす必要はないし、メインキャスターだってやらせたらいい

さて、以前、独占企業の民営化を批判したが、JRは相変わらずひどい

金儲けは確かにうまくなった

東京駅のレストランやアンテナショップのような店は大繁盛だ

しかし、キャスター付きのキャリーケースを持ち人(高齢者や観光客)がこんなに増えても、相変わらず、エスカレーターのないところだらけだ

エスカレーターをつけなくても、客が減ることがない独占企業だからこんなことができるのだろう

認知症の高齢者の介護者を訴えたのだって、通常の会社なら企業イメージを考えて出来ないことだが、いくら訴えても乗客が減るわけでないから企業イメージなどどうでもいい

官から民がなんでも正しいと思われているのと同じくらい、跳梁跋扈しているのが、規制緩和だ

規制はなんでも悪いもののように思われているが、日本人の国民性や企業の体質は規制があったほうがうまくいく気がする

日本だけは脳死が禁止されていて、助かる命が助からないとされていたが、規制が緩和されても年に10人も助かっていない

しかし、規制があったころに生体肝移植の技術は世界でトップレベルになり、年に何百人も助けた

また、当時は人工心臓の技術は世界一だった

規制があれば、代わりでなんとかするわけだが、移植より人工心臓の萌芽、拒絶反応も少ないし、免疫抑制剤も飲まないで済むし、また、人の不幸を待つ必要がないのだから、もっとこれの発展に期待すべきだった

脳死の規制がなくなってから、かえって人工心臓の発達がとまった

公害にせよ、排ガス規制にせよ、規制によって、それをクリアする会社の競争力は高まった

日本のパソコン屋も規制がないから、フリーズしたり、データがとんだりするものを平気で出す

経産省あたりが、データが飛ぶPCの販売を認めないという規制を出せば、日本のメーカーは血眼でそれをクリアしようとするだろうし、その開発に成功したら、多少の円高でも売れる国際競争力の強い商品になる

ゆとり教育もさることながら、規制緩和になってから、日本製品の手抜きが目立ち、円安の時でないと売れないような加工貿易国並みの商品しか出せなくなっている気がする

JRにもバリアフリー化を義務付けるとかもっともっと規制をしないと、この国はたるむだけのように思えてならない