広島の土砂災害は72名も亡くなり、住民たちは家も決まらず、また二重ローンに苦しむ人も多いという

今は、マスメディアも非常に同情的に報じている

確かに、打ちひしがれている時にこそ、優しい言葉はありがたい

ただ、いつもこの手の被災報道を見ていて思うのは、熱しやすく、冷めやすいことだ

少なくとも、次の大事件がくると、すぐに吹き飛んでしまう

私は阪神淡路の震災の時には、毎週、ボランティアで神戸に行っていた

このときは、被害規模も大きかったので、2か月近く、連日、神戸の様子が報じられた

我々、メンタルヘルスの関係者の間でも、そろそろ心のケアの問題も取り上げてもらわないとという話になっていた

PTSDというのは、トラウマ的体験のあと、1か月以上続かないとその診断を受けないことになっている

そして、多くの心の問題は、あわただしさが落ち着いてからどっと出る

しかし、3月に地下鉄サリン事件が起こると、東京のメディアは、阪神淡路のその後をほとんど無視黙殺した

そして、多くの孤独死が出た

広島もおそらく同じような目にあうだろう

東日本の震災のその後が取り上げられるのは、それがいいことではないにせよ、原発事故があったからだろう

その後の影響が、東京の人にも及ぶかもしれないから、報じ続ける(仮にそれが偏向であっても)

どんな悲劇にも正の側面と負の側面がある

広島は被爆のおかげで、早くからタダ同然で医療が受けられる体制が整ったり、検査を定期的に受けたりで、政令指定都市でいちばん平均寿命が長いそうだ

原発事故に、もし正の側面があるとしたら、震災を風化させない効果かもしれない