朝、テレビを見ていたらブラック企業の話をしていた

コメンテーターにもMCにも芸能人が多いが、再現フィルムの部分が、断罪型でなく、真綿で首を絞めるような客観報道の形をとっているので、見ている側への影響が大きい

私自身も言われたことがあるし、テレビや雑誌でも、「労働法規なんか守っていたら会社が潰れる」というが、その人が大金持ちだったりすると、説得力がないし、「自分が金持ちなのは、法律を破っているからですよ(要するに詐欺師やパチンコ屋の景品交換黙認と同じロジックだ)」と言ってやりたくなるが、実は、私も気が弱くて、面と向かっては言えない(だからブログで書くのだが)

私自身は、零細企業の経営者だが、この問題では、いつも弁護士と相談するようにしている

ブラック批判をしてブラックではしゃれにならないからだ

もちろん、たとえば消費税を上げたのに、下請けが価格転嫁できなかったり、あるいは、いつも問題にするバス会社のように20年も値上げできないと(その間にガソリン代はバカ高くなっている)、本当にブラックにならないと潰れる会社もあるだろう

ところで、バスの件だが、病院の場合は看護師や医師が規定より足りないと、診療報酬が減らされるし、監査も厳しい。黒字なのに、人が集められなくて潰れる病院もあるくらいだ

人の命を預かるのだから当然のことだ

そして、慢性的な看護師不足もあって、看護師の賃金は維持されている

バスだって、過重労働にならないだけの人員を雇わないといけないという法律を作れないのか?

もちろん、安全のためである

そうすれば、多少は運転士の立場も強くなるだろうし、雇用も増える

日本は、解雇規制も含めて規制は厳しいが、この手の安全に関する規制が甘い

また、法治国家と言いながら、買春禁止やギャンブル禁止が有名無実のように、破ったもの勝ちのような運用が平気でなされる(警察がちゃんと働かないから当然のことだ。警察はブラック出ないということなのかもしれないがーーところで、日本は警察批判の映画を作ろうとすれば、道路の使用許可を出さない、これは表現の自由の侵害ではないのか?だから、警察礼賛のドラマばかりだ)

さて、それ以上に問題だと考えたのは、ブラック企業が日本経済に与える影響だ

昔の日本企業も、実際は残業が多いことではブラック企業だったともいえるし、クビで脅すことはあった。しかし、本当にクビにすることはめったになく、終身雇用や年功序列の形で企業内福祉をしてきた

結果的に、日本政府としては、公教育費を対してかけなくても、高い教育レベルを保つ(いっぱんの人が豊かなので民間教育費に金をかけてくれた)ことができたし、社会不安も起きず、治安維持のコストも安くついたし、生活保護費も安くあがった

年功序列やベースアップもやらず、ホイホイ首を切るなら、人々は不安で貯蓄に走るし、教育にも金がかけられない。実際に、ブラック企業に解雇された人には生活保護もしないといけない

要するにブラック企業は、会社の福利厚生費を国におしつけているのだから、彼らからもっと税金を取っていいはずだ

またブラック企業は人を3人雇わないといけないところを2人しか雇わず、残業を押し付けているのだから、雇用機会を減らすことになる

クビが多ければ不安で貯蓄傾向が高まり、消費を落ち込む

要するにブラック企業が、デフレ経済の大きな要因なのだ

労働法規を守っていたら、会社が潰れるというが、欧米は守っているのに、日本より財政も赤字になっていないし、競争力が高い国もある

反則をして勝っても勝ったことにならない

労働法規を守ってでも外国に勝てて、初めて国際競争力というはずだ

ブラック企業はあこぎに儲けるだけでなく、日本経済にとってガンといってよい