「以前、大学で連合の前会長に質問する機会があったのですが、「連合の立場としては非正規社員や派遣社員・フリーターといった人達は保護対象に入っているのか。正規社員の給料を下げてでも非正規の割合を下げるという行動はしないのか」と聞いたところ、「正規社員から給料の一部を組合費としていただいている以上正規社員にマイナスになる主張はできない」とのことでした。4年程前の話で、すでに役職から降りられていたのでなんとも言えないのですが、現実として企業が総人件費を上げることは考えられない中、労働組合が正規社員・常勤公務員の既得権益を守る組織に化けている印象をもちました。」(引用終わり)というメッセージ

おそらくその通りで、連合は、正規雇用者のための組合であり、日本は非正規雇用者のユニオンが弱すぎるという問題がある

ただ、連合がもっとしっかりしていれば、せめて正規雇用の人間だけでも、この失われた20年の間にここまで所得が下がることもなかったし、その分内需も多くなり、ここまで外需頼りになることはなかっただろう

外需頼りだと、少しでも値下げということになり、下請けが叩かれる

ついでに言うと、正規雇用の賃金がものすごく高ければ、非正規だって、あまり安い金では雇いにくくなる

結果的に非正規雇用の賃金もあがる

企業が総人件費を上げることは確かに現状では考えにくいが、きちんとこの20年、正規雇用の賃金が上がっていれば(その分、ほかの部門でけちることになるから、たとえば宣伝費が削られて、テレビ局の人間やタレントがいまほどいい暮らしはできないかもしれないが)、当然、国民全体の消費が増えるので、企業の売り上げも増える

どう考えても連合が、外国の労働組合(当たり前にストを打つ)ほどしっかりしていたら、20年不況はもう少しましになっていたと思う

現実に連合がダメだから、御用組合だから、少なくとも製造業の会社はきちんと利益を出し続けてきたし、配当として、外国人投資家に流れて、日本の市場はシュリンクしていった

組合の味方の政党がいけないのでなく、組合が弱すぎるのがいけないし、組合がせめて正規雇用の労働者を守るのならまだましだが、会社を潰さないためという名目で、会社のいいなりになってきたのが、日本の病巣だと私には思えてならない

要するに、連合や組合が正社員のためのものであっても、ちゃんと正社員の雇用と賃金上昇を守ってくれれば、非正規の人にも多少の恩恵はくるし、ないよりはましと言いたいのだ

「金持ちの仕事中毒ぶりを指摘していました。金持ちを遊ばせろとおっしゃいましたが少々苦しいと思います。
一つは、金持ちの仕事中毒は世界各国で見られる現象です。アップルやマイクロソフトはワーカーホリックの集まりだと言われてました。」(引用終わり)
というメッセージ

その通りだろう

ただ、アメリカの場合は、ある時期までアホほど働いて、早めに引退して遊ぶ、老後も島を買って、クルージングをして、自家用ジェットを乗り回すという人が少なくない

ある時期、仕事中毒でも、歳をとってから金を使ってくれるというライフサイクルのパターンができれば、高齢者が増えても消費がむしろ増えるし、歳をとることが怖くなくなるし、若い人が年寄りを大事にするようになる

そういう点では、累進課税の強化より、相続税の大幅増税のほうが、この方向に人、とくに金持ちを向かわせるかもしれない

児童虐待数が過去最高の66807件ということだ(これは、児童虐待の総数ではなく、児童虐待の相談件数である)

統計を開始したころは、確か1100件くらいだったから、恐ろしいとしか言えない増加だ

アメリカ留学中に児童虐待が問題になっていたし、向こうでは年間200万件とか言われていたから、日本のこの数字は氷山の一角かもしれない

ただ、留学中に問題になっていたのは、これが貧困層とかスラムだけの問題でなく、インテリ層、中流層以上でもけっこう起こっているということだった

日本の場合、昔の有名進学校の子供が放火殺人事件を起こした際に、その父親が虐待のようなことをしていた記憶があるが、まだそういう層のものはそんなに多くない
(実態調査をしてみたら覆るかもしれないが)

やはり貧困とリンクしていたり、保護者の精神的問題(日本の場合、これに対する心理的サポートが弱いし、専門的な相談機関はアメリカと比べてまだまだだ)、若年妊娠の母親みたいな問題が多いようだ(相談にきたケースのみが対象なので、この手の分析は比較的はっきりしている)

格差社会化が進み、しかも少子化対策というとバカの一つ覚えのようにどんな形でも子供が生まれればいいという発想なら、当然起こる副作用である

ところが虐待を受けた子供は精神障害やパーソナリティ障害に陥る可能性が高い

結果的に、生活保護予備軍、犯罪予備軍となり、将来に対する負の遺産を我々の子世代に残すことになる

子供のいる生活保護家庭を叩いて、金を減らすと、教育に回る金が減るし、親の心もすさむ、虐待につながることもある

ところが、そういう家庭の生活保護を門前払いすることさえ珍しくなくなった

福祉というのは救貧のためだけでなく、教育レベルを維持したり、将来の治安の安定につながるということを忘れてはならない

ケチなアメリカの金持ちが生活保護を許し、対GDP比で日本の5倍の生活保護費を使っているのにはちゃんと理由がある

貧困の撲滅が国のためになるというのは、ケネディ時代からの大きなテーマだ

ただ、貧困問題だけでなく、やはり家族の問題はあるだろう

核家族でない時代であれば、未成熟な母親でも、その母親がフォローしたし、貧困層でも家族内での支え合いがあった

ということで、そういう問題もふくめて、家族の問題を研究し続けてきたり、その心理を助けようとし続けてきた日本家族心理学会というのがある

今回、介護家族の問題にも目をつけていただいて、私の映画を上映するととともに、私をトークセッションに呼んでいただけることになった

東京で、私の映画を観れるラストチャンスかもしれないので、ぜひ見に来てほしい

トークセッションも楽しみにしてほしい

日本家族心理学会30周年記念大会 映画上映会
「わたし」の人生ー我が命のタンゴ― 
 映画上映会と和田秀樹監督のトークセッション

2013年9月1日(日) 14時~16時半 
国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟 国際会議室

入場料:1000円

*映画上映会は日本家族心理学会大会内のプログラムですが、
一般の方の参加もぜひお待ちしております。

お申し込み、お問い合わせは、日本家族心理学会30回大会ホームページまで
http://www.iuhw.ac.jp/jafp2013/
映画公式サイト
http://www.watashinomichi.com/index.html