「以前鬱に効く磁気治療を紹介していましたね
気になって紹介されたクリニックに足を運びましたが、一回費用4万という冗談かとおもう破格のコストで紹介されました
さらに医者に聞くと、週に3回の治療は当たり前と言われ自分は迷う間もなく治療を拒否し、クリニックを後にしました
こういった治療法を紹介する和田さんに遺憾の意を覚えました
金持ちの感覚はおかしいのかなと結論を早めるくらいむかっ腹立ってしまいました」
(引用終わり)

というメッセージをいただいた

確かに、うつ病の人は、それで職を失った方や正規雇用をしてもらえない人など、おそらく一般の人より貧しい人が多いし、その人たちに高い治療を紹介するのは、気がひけるところはある

ただ、昔のように経営者が高い給料をもらわず、従業員に十分な給与を支払い、終身雇用や年功序列を守っていたころ、一億総中流と言われていたころなら、この手の批判を受けなかったのではないかとも思う

現実に、この磁気治療の値段はアメリカと同じものだ

アメリカの機械を入れているために、機械の輸入の費用がかかるし、この機械を作った会社が賢いビジネスモデルで、頭につける装置を使い捨てにして、1回いくらか(100ドルと聞いた気がする)を払わないといけない仕組みになっている。

円安のせいで当初35000円で価格を設定していたのに、40000円になったという話も小耳にはさんだ(円安はいいことだけではないのだ)

私自身、1時間3万円プラス税でカウンセリングを行っている

これもときどき高いと言われる

私がアメリカの師匠の指導を受けるときに、45分で400ドル払っている。90分だと800ドルである

これが患者さんが払っている料金と同じ値段だということだ

ただ、保険診療で、患者の話をろくに聞かず、1時間に10人くらい診ると、通院精神療法というのを算定されることもあって、処方箋料も含めて1時間で五万円くらいの売り上げになる

3割負担の患者さんは、ろくに話を聞いてもらえなくても、1500円払って、誰も高いと言わない

コストの話ばかりで恐縮だが、私はアメリカ留学中、出れる限りのセミナー(もちろん有料であるし、アメリカの医者対象のものは高い)に出て、毎日、精神分析を受け、週1回グループ治療を受けていたこともあって、物価や家賃の安いカンザス州に住んでいたのに、2年半で3500万円ほど使った。『受験は要領』そのほかの印税や、通信教育のライセンス料などがあったので、たまたま出せたのだが、日本の精神医学が遅れているので、患者さんにいい治療をするには、そのくらいの出費は仕方がないと思っていた

精神医学関係の本の出版や、講演料があるので、もとは返しているが、医者だけやっていたら、とてももとが取れているとは言えない

最近、知り合いの先生の影響で抗うつ剤の副作用の勉強をしているが、自殺のリスクや、人間の凶暴化、あるいは薬物依存、遅発性ディスフォリアなどの副作用を考えたら、医者をやりながら、薬を使うのに本当に慎重になっている

今のままで、確かに貧しい人に、カウンセリング治療や磁気治療ができないのは、本当に残念だし、これは改善を望みたいが、払える人になら、まともなカウンセリングや磁気治療をどうしても薦めたくなる

失業した時の、あるいはうつ病が遷延化して、仕事の能力が大幅に落ちる逸失利益を考えたら、100-150万円の投資は、そんなに高いとは思えない(そんな金がないくらい、従業員からむしりとりながら、リッチな暮らしを送っているブラック企業のほうがよほど問題だ)

実は、デフレ経済、低賃金政策下でいちばん問題になると思われることは、日本の医療レベルの低下である

どこの国でもいい治療は高いのだが、それに金を出さない限り、その治療の導入が遅れる

アメリカはGDPの20%近くを医療費に使っているが、高くてもいい治療を受けたいという人が多いので、医療機械にしても、薬の開発にしても、多くの手術技術にしても、世界の最先端の地位を得ている

アメリカ人は、金持ち以外は自動車や家電品は高いものは買わないし、また高い金を払ってグルメをする人が少ないので、自動車産業も家電品産業も外食産業も、ろくな国際競争力を持ち合わせていない

あと、アメリカの場合、金持ちがどんなに高くても医療費に金を出す

スティーブジョブズが自分のがん治療のために億単位の金をつぎこんだと言われている

おそらくマイケルジャクソンがお抱えの主治医に払っていた金も年間で億くらいではないかと言われていた(その割にひどい治療をしていたが)

大金持ちが虎の門病院に入って、保険で入院する国柄とは大違いだ

アベノミクスでは、国土強靭化(狂人化?)に200兆円もつぎ込むということだろうから、医療に回すことは期待薄だ

混合診療を解禁したり、自費治療に人々が金をつぎ込まない限り、医療の発達は望めない

実際、自費治療が盛んな不妊治療に関しては、日本はアメリカに勝っているそうだ

それでもアメリカの半額だという

要するにアメリカの半額くらい、人々が医療に払ってくれれば、日本の医者はまじめなので、十分に国際競争力をもてるということなのだろう

でも、アメリカは貧乏人がろくな医療を受けられないと言われる

これも、いろいろな方向で解消に向かっている

要するに、医療レベルが高いから、ナースでも十分治療ができるので、ナースプラクティショナーが安い治療をしてくれるらしい

また、製薬会社もみっちり儲けているので、ジェネリックには甘い

高血圧やうつ病の治療薬などは、ジェネリック(それでも、日本はアメリカから10年遅れているので、認可されたばかりの薬のことさえあるのだが)は月に4ドル払えばいいようになっている

金持ちや中流がもう少し医療に金を使ってくれれば、日本の医療は国際競争力をもつし、貧乏人も救われるのである

ただ、年間100万円単位を健康に使うのがはたして高いのかという疑問を私はもっている

パチンコの年間売り上げをパチンコ人口で割ると160万円になるらしい

彼らは生活保護の人間からもむしりとっている

ネットゲームにしても、昔の携帯にしても、平気で月に10万円くらい貧乏人からむしりとっていても、莫大な広告料をマスコミに払っているので、コンプガチャ以外は断罪されることはなかった

そこから依存症の人間を作って、ネトゲ廃人や、パチンコ依存症を100万人単位で生んでいるのにである

もちろん、アメリカは医療費に使うのは健全で、ギャンブルに使うのは不健全と考えているので、原則的にギャンブルを禁止している

日本は人助けをする人間が金儲けをすると断罪され、依存症や廃人を作る業者が、その何十倍も稼いでも、実業家としてもてはやされる

もちろん、医療よりパチンコやネットゲームに金を使うことで、日本の医療技術の進歩も遅れる

うつ病の最先端治療で、人間をむしろ仕事に向かわせるもので、同じくらいの金額が高いと言われないように、日本人の意識改革を切に求めたい(もちろん、払えない人への補助金が出るように、政治には求めたいが、おそらくその金は土建業者のベンツ代と、愛人手当になることだろう。それでもみんなが自民党に入れるのだから、自業自得だが)

あるいは、ブラック企業問題でも話題になるように、企業が人間をうつにするのだから、企業がうつの治療代を払うように法律の改正を望みたい

そうすれば、安全な磁気治療やカウンセリング治療がもっと盛んになるのにとは思う

これも、ブラック企業の代表のような人間を比例区の候補にする自民党には望めない

このまま民主党政権が続いていたら、自殺が増えると書いた安倍政権絶賛の本が私宛に送られてきた

ただ、民主党政権は自民党時代に絶対に減らなかった自殺を減らした

本日の自民党圧勝で、私には、また自殺が増えるのではないかと心配するし、成長戦略と言いながら、旧来型の土木業者と、価格競争しかできない輸出産業くらいしか伸ばせない国になるようにしか思えない