10年後に食べていける術とか、そういう本やセミナーがはやっているらしい

子育てをする人にとっては、10年後では、せいぜいどこの大学がいいかという話にしかならないかもしれないので、20年後を見据えないといけないだろう

ということで、10年後、20年後の勝手な予測をさせていただく

10年後、20年後の中国やインドについて、彼らから多くの中流階級が生まれると言われているが、意外に論じられていないのは、両者とも見栄っ張りの国民性だということだ

鳴り物入りで登場した、タタのナノという国民車も、安物のイメージがもたれたために、あまり売れなかったそうだ

中国人も見栄っ張りで、庶民でも、大した収入のない人でも宝飾品や金製品を飼いたがる

昔の日本人も見栄っ張りだった

高度成長期には、より高い服、高給ブランドを買いたがった

発展途上国から先進国になり、国が豊かになる局面では、貧乏くささからの脱却が大きなテーマになる

安物の国産品や発展途上国の製品では満足できなくなり、豊かな国の物がほしくなる

今、ビバリーヒルズなどに行くと、日本人の客はまばらになり、韓国人が増え、中国人はもっと増えている

何が言いたいかというと10年後には、中国人やインド人の中流は「高級」なものを欲しがるということだ

円安が起こって、日本の製造業は大喜びをしている

これは、私は不幸なことと思っている

円高でも勝ち残れるように、付加価値の強いものを作ろうという方向に向かわず(ユーロ高時代のドイツはそれに成功して、ヨーロッパでもっとも経済の強い国になっている)、安売り競争の発想が抜けないから、円高をびびる

円安になると喜ぶ

アベノミクスというリフレ政策で、私は円安はさらに進むと思う

120円くらいと見ているが、アメリカがシェールガスで奇跡的な景気回復をすれば150円くらいもあり得ると思う

ドイツ車はユーロが安くなっても値下げしないが、日本はそうなったら値下げもするだろう

かくして、日本製品は安物イメージが抜けない

10年後のインドや中国市場を制しているのは、おそらくはヨーロッパ製品ではないかと予想する

中国の貧乏人は反日だが、中流以上は日本好きが多いらしい

貧乏人の反日より、中流以上の日本人のブランドイメージ低下のほうを真剣に心配したほうがいい

ローソンの新浪氏のようなまともな社長が出てきて、人々の給料を上げていかないと日本のブランドイメージは低下し続ける

ただ、ローソンにしても社員の給料を上げただけで、末端のコンビニ店員の時給を上げたわけでないので、地方の貧しさは変わらないということも忘れてはならない

さて、円安だが、10年後ということになると200円にはなっていると思う

ポピュリズム政党が続く以上、思い切った増税もできないから、国債などは増え続けるだろう

そのくらいの円安になれば、輸出産業が潤うと思うかもしれないが、製造業が国の経済に占める割合を考えると、そこまで大きなメリットは受けない

前述のように日本は安物を作る加工貿易国に成り下がっているから、材料の輸入にかかる費用が上がることを考えると、そう大もうけは出来ない

私の尊敬する野口悠紀雄氏によると、日本の不況の本質的原因は、どこの国でも、製造業がすたれてサービス業に移行するのに、日本の場合は、製造業がすたれて、移行したサービス業が介護のように給料が安かったことが問題だったとのことだ

製造業からサービス業に人が移って、かえって給料が高くなる国では、そこで、構造変化が起こり、平均賃金が上がる。日本は逆になったというのだ

要するに、日本は貧乏くさい国から脱却できそうにないし、安物を作る加工貿易国に成り下がってしまう

円が200円になっても、日本製品というだけで、高級なものを作る国の3分の1くらいの値段でしか売れなければ、日本は豊にはなれない

もう一つ、これは世界的なトレンドで、人間の性とも言えるものだが、金持ちのほうが金儲けが上手いので、製造業のように、人手がないとものが作れないから労働者の言うことも効かないといけない時代がすぎると、金はますます高いところに集まる

どこの国でも(中国のような国でも)格差社会化が問題になる

というのは、所得が均一な国より、格差社会のほうがGDPに対する国民の総消費の割合が低くなるからだ

そういう格差問題をメディアリテラシーの高い国でも、是正が働く

アメリカの金持ち増税がそのいい例だ

ところが、日本は未だに、おそらく10年後もテレビの信者が多い

テレビに出ている奴は格差社会の勝ち組だから、未だにパチンコ屋が韓国で廃止になったのを日本人が知らないように、諸外国が格差が是正になってもテレビは報じない

そうして、日本がいちばん格差社会の脱却が遅れる

それによっても、日本人は外国から貧乏くさい国と思われる

10年後に生き残っていける人間は、結局のところ、金持ち相手の仕事をする人間か、外国に媚の売れる、買弁の人間になるか、外国人が尊敬するくらいの技術か能力(語学力ではない)のある人間だ

日本がマルコス時代のフィリピンのようになったのを想像すればいい

あと、小金持ちにアドバイスしたいのはドルの貯金をしておけということくらいだろうか?

日本人として本当に情けないが、半分くらいの確率で予想が当たる気がしてならない