本日もいくつかメッセージをいただく

「和田さんには、勉強が精神医学上健康に良い、という話題を期待します」(引用終わり)

こういう本はいくつか書いているが、これはもっと強調していきたい

とくに高齢になると知的レベルが寿命にダイレクトに影響している(これは、拙著『定年後の勉強法』を参照されたい)ことも、強調し続けてきたし、し続けていきたい

「コメントや返事が欲しいのではなく、へーそういうこともあるのか、と思っていただければ、といつも書いています」(引用終わり)

私の読者はインテリや観察眼の鋭い人が多いので、そういうこともあるのかと思うことは多い

たとえば、「アキバ,新宿,渋谷、町田、大森、池袋…。まだまだ乞食なんていくらでもいますよ。珍しくもない光景な気がします。」(引用終わり)

おそらくそうなのだろう

私がきれいなところしか見ていないのかもしれない。そして、政治家やテレビに出ている文化人はもっとそうだろう

ついでに、あとひと押しだが、『「わたし」の人生』が今予定されている限り、最期の劇場公開を三軒茶屋中央劇場でやる

きれいな映画館でないが、今どきないレトロな感覚で、ずっと残ってほしい小屋(あえてそう呼びたい。映画館は業界では小屋と呼ぶが、そういう映画館が少なすぎる)だ

建築の規制がどんどん厳しくなって、浅草にも映画館がなくなったそうだが、そうならないことを切に願いたい

で、もつべきものは同級生というか、嬉しいメールをいくつかいただく

「認知症になった大学名誉教授の苦悩と受容、介護する家族の課題を扱った映画で、精神科医としての和田君のメッセージもしっかり伝わりましたが、押し付けがましさがなく、映像含めて優しさ溢れる爽やかな印象も受けましたいい映画でした。(DVD発売して欲しいものです。)
東京では今日から三軒茶屋中央劇場でやってます。 http://movie.walkerplus.com/th569/sc557603.」

「私も見てきました。和田秀樹君の映画『わたしの人生 わが命のタンゴ』。学生時代に行った懐かしの三軒茶屋中央劇場での上映。
感想は…お世辞抜きで面白かったです。
キャストがすごい!いつまでも美しい秋吉久美子に、存在感のある小倉久寛、ウルトラセブンの森次晃嗣、昔ファンだった松原智恵子...中でも圧巻は、認知症の老教授役、橋爪功。流石の演技です。
認知症が進行する父親(橋爪)のために、仕事が進まなくなっていく長女(秋吉)の苦悩。
思わず映画の中に引き込まれ、展開が良くて最後まで飽きません。1/11まで上記映画館で見られます。是非ご鑑賞を。」

こういう書き込みを同窓生のメーリングリストにしていただけるのは、本当に嬉しい

私は、小学校、中学校、高校を通じていじめられっ子だったから、東大の医学部の同級生がいちばん優しい気がする。勉強ができると性格が悪くなるというのは嘘だろう(私の性格が悪いのは勉強ができるせいではなく、アスペルガーの持病のせいである。そのアスペルガーの人間より貧乏人に冷たいのが、自民党政権や維新やマスコミの連中であるが)

で、自民党が「日本を、取り戻す」と言って選挙に勝ったわけだが(本日も、候補者の名簿が出ていたが、参院選でも圧勝しそうな気がする。そのくらいマスコミの民主党撲滅運動がひどい)、どういう日本を取り戻せばいいのだろう

勉強ができる(頭のいい)日本人

貧乏人のいない(実際はいたのだろうが)、一億総中流の日本

勤勉な日本人

「高くても」ちょっといいものを欲しがり、ちょっとおいしいものを食べたがる日本人

お年寄りや弱者に優しい日本人

地方と都会の格差の少ない日本

頑張れば這い上がれる日本社会

そんなところなのだろうか?

自民党の書いていることとは違うが、そういうものは取り戻してほしい

百田尚樹さんの『海賊とよばれた男』を読んでいる

出光佐三をモデルにした歴史経済小説なのだが、私も、この人のことは前から聞いていた

日章丸事件というのは、日本の外交のあるべき姿を提示したものと思っていたし、出光の大家族経営主義は、日本の経営のあるべき姿と思っていた

小説を読むと、その大家族主義はもっと徹底していて、戦後破産状態になったときも一人も首をきらなかったし、定年も出勤簿もない会社だったという(未来工業もそれを見習ったのかもしれない)

そういう会社からの信頼に応えて、社員もほかの会社の社員よりはるかに働いた

昔の社員は会社を信用した

若いころ、安い給料で一生懸命楽をさせてあげるという会社の言い分を素直に信じて、若いころはサービス残業も当たり前に頑張った

それに会社は報いた

ところがある時期から、会社は、中高年は、働きの割に給料が悪いとリストラの対象にした

これでは、社員は会社を信用しないし、滅私の気持ちで働けない。会社のために働けない。金のために働くようになってしまう

『甘えの構造』という名著でも、日本人には、相手の好意を期待する心理があるが、その一方で、それに応えようとする心理があるから人間関係が円滑に進むということが強調されている

甘えられない人は、相手の好意を信頼できず、すぐにすねたりひねくれたりする

日本は、そういう相手を信頼しない国にいつのまにかなってしまった

社員に信用されなくなった会社は、クビで脅さないと社員は働かないと逆に考えるようになったし、出来る奴には金をたくさん出さないと働かないとアメリカ人のような考えになってしまった

生活保護があると、人は働かなくなるというのも、国民をばかにした、そして、国民を信用しない考え方だ

生活保護の制度があっても、働きたいし、できれば受けたくないという気持ちをどうして信じてあげられないのか?

例外はいるだろう

でも、多くの人は働けないから生活保護を受けるのに、怠け者の扱いをする

人間同士が信頼できる社会になることが、いちばん取り戻してほしい日本だが、安倍氏も、日本人を信頼していないから、生活保護を切り下げる考え方のようだ

これが現状のままだと人は働かなくなると考えているようだ。インフレにするといっておいて、生活の最低ラインを下げるという格差社会の提唱者、人間不信の権化のような政権が、日本では人気があるのは、やはり国民も、政府が厳しくしないと、人間はろくなことをしないという、人間不信に陥っているのだろう

もちろん、私だって、すべての人を信用しろと言っているのではない

原則的に信用できるから、終身雇用とか生活保護はきちんと残して、その信頼を裏切った犯罪者(不正受給も犯罪だ)にはきちんと罰を与えるというのでいいのではないかと思うだけだ

社会心理学の実験でも、原則的に人を信頼する人間のほうが、原則的に疑う人間より詐欺にひっかかりやすいということが明らかにされている

悪人のほうが少ないのなら、そのほうが違いを見抜きやすいからだという

人を信用して損をすることはかえって少ないのだ