昨日は、私の所属する国際医療福祉大学の講演会

私が医者の免状をもっているから夢を捨てないで済んだという話と、受験勉強をどう勝ち抜くかという話をした

大学の講演としては、やや品がないし、露骨すぎるかもしれないが、昨日発表されたリクルートの調査では、高額時給ナンバーワンのアルバイトは看護師だという

社会保障があてにならないし、景気が回復しそうにないから、資格をとるに越したことはない

昨日のブログについて、今の経済論客の考え方を教えて下さった方がいる

心理学をちゃんと勉強している経済学者もいるという

私がいちばん言いたいことは、難しい心理学を経済に応用しろという話でない

カーネマンもいうように、人間というのは合理的に行動はしない

しかし、合理的ではないが、私もそうするだろうなと行動する人が多数派なのである

たとえば、無条件に100万円くれるというのと、半分の確率で200万円、半分の確率で0円というのなら、前者を選ぶ人が圧倒的に多いという実験結果は、確かに自分もそうだと思う人が多数派だろう

ただ、これは人によって違うという

借金が200万円ある人の場合、無条件で借金が100万円減るというのと、半分の確率で借金が200万円減るというのなら、今度は後者を選ぶ人が多いとのことだ

一つ1000万円するが3割の確率で1億円当たるというくじをやる権利をもらうのと無条件で1000万円もらえるというのとどっちを選ぶという場合、金持ちは前者を選ぶし、貧乏人は後者を選びやすい

冷静に考えると前者の期待値は3000万円なのに、貧しいと確実に金が入るほうにとびつくし、1000万円の損を恐れてしまうのだ

でも、ひょっとするとこういうことは民族性の違いもあるかもしれない

だから、カーネマンの理論にしても日本人に当てはまるかどうかはわからない

このメッセージの主は、実証経済学が大切だというが、だから過去の経済政策の総括が必要だというのが私の考え方だ

私に言わせると、最大の失政は99年の金持ち減税だった

昔はともかく、今の日本の金持ちはケチだ

最高税率を65%から50%に下げると、金持ちがもっとやる気になるし、消費も増えると考えられたが、生産性が上がったという話も、消費が増えたという話も聞かない

金持ちの資産が増えただけだろう

そして、自分の手取りが増えるから金持ちがさらに強欲になり、非正規雇用が増え、また労働分配率も下がった

そうでなくても、消費が落ち込むのに、減税で国の借金が増えるから、今回の生活保護たたきのように社会保障が削られ、人々が不安になって金を使わなくなる

国の借金は心配しなくていいという説がある

私も実は、それに近い考え方をしているが、マスコミと官僚と一般大衆がそう思っていないなら、これも実は意味がない気がする

国の借金が多いと、社会保障が削られると大衆が学習している限り(だから、今回の生保叩きは大失敗だと私は考えている)、積極財政で、一過性に雇用が改善しても、一過性に金持ちの懐に入る金が増えても、人々は貯金に回す

消費が回復しないと税収が増えないから、結果的に国の借金が増えるだけだ

ただ、私が言いたいのは、これだって、仮説だということだ

実証と言うならやってみるといいと思う

橋下氏の考え方は嫌いだが、次の次の選挙で単独過半数でもとれば、好きなようにやるだろう

かくして、新自由主義がダメだと人々が学習すれば、それでいい

そうこうするうちに、三橋氏や、藤井氏を経済ブレーンに雇う政治家も出てくるだろう

それで、やってみてうまくいけば、拍手喝采するし、ダメだったら、やっぱり俺のほうが正しそうだと思うだけだ

日本は肩書で判断する社会だから、私は、おそらく経済評論家でも経済学者でもないという理由で、私の考え方を取り入れる政治家は出てこないだろう

だから、私が生きている間に、私の考え方が「間違っている」と証明されることはない

間違っていると証明されるまでは、私が正しいと主張しても、理論的に否定できても、実証的に否定はできない。それが実証主義というものだ

ただし、間違っていると証明されたら、私の場合は、頭を丸めたり、評論活動をやめたり、シェーして逆立ちをしたりという感じで、きちんと責任を取る気はある

それが、ほかの経済学者やエコノミストとの違いだが、それより肩書が大切にされる社会だから仕方がない

そういうことこそ、構造改革が必要な気がするが

もちろん、間違っていることが証明されない限り、三橋氏も藤井氏も、みんな否定できないことは私も認める

だから、積極財政や金融大緩和で景気がよくなる可能性がゼロだとは私も言わない

金持ち増税で経費を大幅に認めること、相続税100%が景気をよくするというのが、私の現在の経済理論である