生活保護批判がやまない

昨日も、産経のネットをみていたら、「生活保護食い物にする病院、ブランド着飾る受給者…医療扶助に制限を 読者の声」というタイトルで読者の声がいろいろと寄せられていた

確かに、たぶん、生活保護を食い物にしている病院はあると私も直感している。取りはぐれがないから、いらない薬も出し、検査も多くなる。ただ、これは保険の審査が、一般と比べて生活保護の人のほうが甘くなるからではなく、一般の人が3割負担なので、薬を出し過ぎると嫌がられるからだ

要するに医者が出した薬に対して、保険の審査が緩いのである。アメリカの場合は、金を出すのが保険会社なので審査が厳しい。エビデンスがない薬を出すと平気ではねられる

生活保護が悪いのでなく、緩すぎる保険の審査が悪い。赤字を自覚すべきだろう

「薬をもらいに来る患者さんのうち、3割ほどが生活保護受給者。その半分ほどの人が車で来て、ブランド物で着飾り、多種多量の薬をもらっていく」という北海道の女性薬剤師の声、

「訪問介護の利用者の中には生活保護を受けている方も多かったが、配食はまずいといってほとんど捨ててしまう人もいた。通信販売で高い肉などの食品を購入し、すしやピザなどのデリバリーを毎日頼んでいる人もいる。生活保護の方に支払われているお金はみんなの税金。大切に使ってほしい」という川崎のホームヘルパーの声も紹介されていた

ブランド物の服で着飾るというのはどのレベルの話なのだろうか?いろいろなパターンが考えられるだろう。生活保護の人間は、服なんか最低レベルのものでいい。高級ブランドでなくても、国内のブランドでもダメという考え方。私も生活保護の母子家庭の人に話を聞くが、自分はともかく、あまり安っぽい服を着せると子どもがいじめられる。自分はうつ病で働けないが、子どもだけでもちゃんと育てたいのでという話をされると、おそらく食べ物を切り詰めているのだろうなという気がして気の毒になる。服にだけ金をかけるという考えが許されないのだろうかとも思う

もう一つあり得るのは、今のご時世、お金のある人が、リストラにあったり、会社がつぶれたりして、古いブランド品を着ていくというものだ。私も映画を撮るようになる前は、平気で30-40万円くらいのゼニアのスーツなどを買っていた。今は安い服しか買わなくなったので、古いスタイルとわかっていても、つい昔買った高いスーツを着てしまう。服が買えないからブランド品というパラドックスが起こることもわかる。日本では古着を売ってもろくな金にならない

もう一つは、本当の不正受給だろう。私も、実際に、お金が足りなくなると、夜の商売をしてしまうという人を知っている。

ただ、一つ言えることは、生活保護の不正受給は犯罪である。きちんと取り締まれば済むことで生活保護そのものが悪いわけではない

たとえば保健医療費の不正受給が発覚したら、それを取り締まるべきであって、医療保険をやめろとか、減らせという話にはならないはずだ

すしやピザのデリバリーにしても、生活保護の人の中には、こちらでも信じられないくらい金銭感覚が身につかない人や、生活能力のない人もいる。昔と違って、こういうものが安くなって月に5万円くらいで可能になっている。料理くらい覚えろというかもしれないが、生活保護の範囲内でやっているのなら許してやってもいいのではとも思う。鬱で外に出られない人には宅配もありがたい。ただ、金銭感覚がなくて、最初の5日とか10日で使う人も多い。たいがいパチンコに消えるのだが、違法なぎゃんぷる(これが生活保護を生み出している)を取り締まれという声が出ないで、生活保護を叩くのに違和感がある

私は、生活保護というのは、国民の見栄代の要素も大きいと考えている

日本が外国からどんな国に見えるのかは重要なことだ

アジアのほかの国から見て豊かな国に見えれば、それだけ憧れられるし、多少高くても日本製が欲しいという話になる

私は生活保護が贅沢なのではなく、一般の最低賃金が安すぎるのが問題だと思っているのはそのためだ

日本が貧乏くさい国だと、中国人やインド人に思われたら、価格競争をせざるを得なくなる。すると日本人の賃金はフィリピン並みとかにされてしまう

生活保護より安い賃金なら働かないという国民性なら、むしろ、一般大衆の最低生活レベルが維持される。それではお金がいくらあっても足りないというかもしれないが、ヨーロッパでは、対GDPで日本の4倍くらい生活保護費を使っている

消費税を20%にまで上げたいのなら、むしろ、その金を生活保護にあてて、生活が苦しくなったり、そのせいで企業倒産やリストラが増えてもセイフティネットになるようにしないと、どんどん消費が落ち込んでしまう

生活保護制度が充実して、日本が貧乏くさい国に見えないのなら、そのくらいの見栄代を税金で払ってもいいのではないか

国の見栄のための軍備の増強を喜ぶ人は多い。9条も改正しろとか、国連の安保理の常任理事国に入ろうとか

どこにそんな金があるのだろうか?

国民が貧しくても軍備が立派なら、外国にかっこいいと思うのなら、北朝鮮と同じ発想だ

貧民が多いということは外国にかっこ悪いと思えないのだろうか?

ついでにいうと、フィリピンであれ、発展途上国の人間に優しかったり、教育を受けさせようと24時間テレビでチャリティをやったりしている

でも、日本で生活困窮のために自殺する人が少なく見積もっても年間1万人はいる

日本国の貧しい人のためにチャリティとかボランティアという発想にならないのがなぜかよくわからない

少なくとも、その子どもたちが教育をちゃんと受ければ国のためになるし、受けられなければ、また生保を受けるようになったり、ひどい犯罪者になったりするのだから