原発問題にしても、電力会社たたきにしても、日本人が感情的で冷静を欠いているのだとばかり思っていたが、ある人と話していて、これは情報操作なのではないかと疑うようになった

国民の安全、危険については、さまざまな確率論や危険性についての論議がなされている

一つだけ言えることは、3.11より前は、当たり前に原子力発電を享受していたわけだが、これから再稼働を許すにしても、それ以前と比べて、チェックが厳しくなる分だけ安全になることはあっても、よけいに危険になることはないということだ。これまで危険性を知らずに許してきたのが能天気だという発想もなりたつが、40年間知らぬが仏で大きな問題が起こらず(起こるかもしれないという人はいたが、起こったわけではない。JCOのような下請けレベルではかなり深刻な事故が起こったことはあるが)、化石燃料への依存からの脱却ができてきたし、鳩山元首相が大見えを切った(あの時の国際公約は、どうせ守れないのに勝手な約束をしてという論調だったが、今は守らないのが当たり前のようになっている)のも、当時、日本だけCO2の排出量が非常に少なかったという意味で優等生だったのは確かだ。

低線量の放射能については、体にいいという説はないわけでない。

いずれにしても問題なのは、原発と化石燃料や水力発電(これも危険がゼロと思っている人が多いようだが、水位を上げると昨日のような豪雨のときに、必ずと言っていいほど死者が出るような水害が起こる)のどちらが「まし」かという議論がでない、つまり原発を止めることにまつわるリスク情報がマスコミに上がらないようになっていたり、放射能の危険性だけが問題にされて、低線量の放射能が安全かもしれないとか、かえって体にいいという情報がマスコミに上がらないようになっているということだ

電力会社についても悪い情報だけがマスコミに取り上げられ、値上げもなかなか認められない

もしこれが、たとえば、アメリカや中国や韓国の情報操作だったらどうだろう

国民の健康については別としたら、原発依存度を高めにしておいたほうが、発電コストも安くできるし、たとえばイラン情勢のような燃料不安におびえなくてすむ。国際競争力を考えるとこちらのほうが有利そうだ(あえて断定は避けるが)

国の基幹産業である電力会社が弱体化すれば、化石燃料が枯渇しつつある際に、仮に原子力に頼らなかったとして、ほかの電力源の開発能力は確実に下がる。将来的に海外の技術に頼って、その特許代とかを払い続けないといけないかもしれない

実際、東電いじめのおかげで、原発その他のエネルギーの優秀な技術者がけっこう韓国や中国に引き抜かれているようだ

もし、これが情報操作だったとしたら、確かに、中国や韓国やアメリカは得をするし、日本は損をする

もちろん、マスコミが中国や韓国やアメリカに金をもらっているとは思わない。情報操作というのはもっと狡猾にやるものだ。名前の売れた学者に国益にかなったことを言わせるなどというのはアメリカの常とう手段だ。おかげで、アメリカのまねがいいことのように日本中の経済学者や役人や会社の経営者が信じ込まされて、日本経済はぼろぼろになった

エジプトの大統領選挙がどうなるかわからないが、ジャスミン革命やカダフィ政権を崩壊を含めて、一連のアラブの春と言われた民主化運動もアメリカの情報操作だという説は消えない

私が言いたいのは、国益を考える上で、情報操作を疑いセンスである

実は、戦前の日本は、情報操作能力がとても高かった

満州国を作ると、国民の洗脳のために映画会社を作ったが、その理事長は甘粕大尉だった

第二次世界大戦でも、あっというまにシンガポールを落とすことができたのは、情報操作がうまくいって、現地に反英、親日感情を醸成することに成功したからだという

日露戦争の時期に合わせてロシア革命が起きたのも、日本側からの情報操作があったのではないかという説があるくらいだ

まだ諸外国のスパイが情報収集だけの能力しかなかったころに、情報操作に力を入れたのが日本だったのは確かだったようだ

実は、この話にはいくるか後日談がある

戦後、日本軍が解体された際に、日本の総合商社にこの能力をもった人材が流れて、情報操作能力で、日本の海外進出がうまくいったという説は根強い

いっぽうで、この情報操作能力をひきついだ国がある

アメリカと北朝鮮だ

731部隊をアメリカが免責をしたり、資料を引き渡したことはよく知られていることだが、おそらく日本の情報操作の技術はアメリカに流れたようだ

かくして、南米には長らく親米政権が次々とできた(武力だけでなく、選挙でも勝たせたのだから、やはり情報操作があったと考えるべきだろう)

GHQは歴史の教科書に黒塗りをするだけでなく、数学の教科書が難しすぎるからやめさせろと主張したが、当時の文部省の役人は体を張って、それを阻止した。アメリカにとっては日本の科学技術の進歩は脅威だったからだとされる。アメリカは戦術を変えて、勉強をすると心がおかしくなる、性格が悪くなるという情報操作を続け、結局、日本は東アジアでいちばん数学のできない国になり下がった

北朝鮮に洗脳されて、長い間、地上の楽園だと信じ込まされたり、少なくとも韓国よりいい国だという情報は流され続けた(パチンコが合法だとか韓国で廃止されたという情報がほとんどマスコミに載らないのも、金の問題だけでなく、情報操作であるという説もある。どんなに北朝鮮がボロクソに言われるようになってもパチンコ業界だけは守るというのは、名より実をとる北朝鮮の情報操作だというのだ)

いろいろな形で、情報操作のうそが露見しているのに、日本人も日本のマスコミも情報操作の可能性をまったく考えないで、動かされる体質は変わっていない

私は戦前の日本を美化するつもりはないが、戦前と戦後のいちばんの違いは、情報操作をする国からされてもまったく疑えないパンパか国家になったということなのは確かなように思えてならない

せめて、文化人や政治家や官僚の中で、その可能性(私だって、今の原発問題などが情報操作と決めてかかっているわけでない)を疑える人間は出てこないのだろうか