今度は無免許運転の少年が、集団登校の列につっこんだということで世間の耳目を集めている

てんかん患者にせよ、飲酒運転にせよ、無免許運転にせよ、大きな事件が起こると、急に取りしまりが厳しくなるし、世間のバッシングも大きくなる

毎年交通統計を取っているのだから、統計数字上、てんかんなどの患者の事故が増えているとか、飲酒事故が増えているとか、無免許事故が増えているとか、あるいは、それによる死者が増えているとかいう統計に基づいて、その取り締まりを強化するとか言うのが筋のはずだが、目立った事件が一件あると、それをマスコミが大騒ぎして、それがいかに許しがたいことで、徹底的に取り締まらないといけないかという話になる

車にのる若者が減っているように、都会、とくに首都圏、あるいは東京では車は不要に近い

しかし、地方の人間にとっては、唯一と言っていい移動手段だ

ところが都会では夜中でも人が歩いているから、どんな形であれ、自動車がルールを守らないことは危険だ。スピード違反だって、携帯運転だってそうだろう。自転車ですら、人をはねて殺すことがある。

でも、多くの地方では夜中に人は歩いておらず、こういう危ない運転の犠牲者は、自爆だったりする

今回の無免許騒ぎだが、あくまで私の予想だが、無免許運転は昔と比べると明らかに減っている

昔は、田舎だと、教習所など通わず、親の車で適当に練習して、試験を受かって免許をとるというのが当たり前だったようだ。都会の場合は、公道での練習はかなり危険だが、田舎だとそう危なくない

もちろん、隣りに運転ができる人が乗っているというのが建前だが、だんだん運転できるようになると自分で運転するのが当たり前になってくる。そして、自信がついたら免許を取りに行く

もちろん、ときどき事故も起こったはずだ。でも、通過儀礼として大目に見られていたのだろう

おそらく、今だって、そういう形で免許を取るケースは少なくないはずだ。教習所に通わないでも試験が受けられる制度がある以上、そういう人は確実にいると思う。今回の事件で、その制度が廃止になって、貧乏人が免許を取りにくくなるのが心配だ。

免許を取れないことで、田舎だとまず就職が困難になる。貧乏の悪循環だ。

もう一つは、今回の事故原因は居眠り運転だということで、無免許がおそらく直接の原因でない

飲酒死亡事故の多くも、実はスピード違反だということを聞いたことがある

でも、しらふでもスピード違反をする人はいっぱいいるし、飲酒時のほうが多いというはっきりした統計はない。私の経験から言わせてもらうと、飲酒時のほうが、免許を守るために、スピードは落として運転する

いずれにせよ、飲酒プラススピード違反の重大事故は、かならず飲酒のほうにカウントされる

原因帰属の単純化もテレビの常とう手段だ

もちろん、子どもに実際の肉体的な被害だけでなく、精神的なトラウマになるだろうし、妊婦が死亡して母子もろとも死亡したのも許せないし、運転の少年が暴走族上がりだったのも許せない

事故を起こしたのが、居眠りだけでなく、暴走族上がりのモラルのなさのためで、無免許のためでないかもしれない

いずれにせよ、これらの要素が原因帰属を単純化することを正当化する理由にはならない

おそらく暴走族上がりでない、ただ、お金がないから、免許を取れるまでの間無免許という人だってたくさんいるはずだ

なんでも、ことばで一くくりにするのはどうにかしてほしい