有名女性タレントが占い師と称する女性にマインドコントロールされていろいろとおかしな言動をしているということで、ネタがないせいなのか、ワイドショーで、ものすごい時間をさいてとり上げれれている

私もうっかりスポーツ紙か何かにコメントを出したせいで、その後、いろいろとテレビなどでコメントを求められたりしたのだが、専門外ということで一応お断りをするようにしている

アメリカに留学に行く以前だから、まだ20代の頃だったはずだが、当時の精神分析の師匠の紹介で、とあるカルト教団からそれこそ奪還して保護している大学生の精神分析的治療をしたことがある

そこで、わかったことは、それなりに受験勉強などでは成功しているのだが、その子の抱えていた空虚感と、逆にカルトの中でそれが満たされる体験だった

その満たされないものが、カウンセリングなり、実際の人生で満たされないことには、マインドコントロールも完全には解けないだろうし、少なくとも、またそのカルトに戻りたい気持ちが治まらないだろうと思った。師匠もそうだと話してくれた。

私が、この女性タレントを見て思うのも、もちろんつけこむ女占い師は許せないが、どこか強い不安や人間不信、あるいは、そんな風にさせるトラウマのようなものがあって、その状況下で女占い師に出会ったから、どんどん深みにはまっていったのではないかと思う

確かに、カルトであれ、こういう個人の洗脳者であれ、相手の依存心を強めていったり、暗示や命令などを次々と出していって、自分で思考する習慣を奪い、逆にその暗示や命令がないとどうやっていいかわからない不安な心理、依存症の人の禁断症状のような心理にしてしまうのだろう

通常のカウンセラーなら、依存心を少しでも楽にさせてあげて、自分で判断できるように仕向けていくのと逆のベクトルの行為をする。

でも、だからといって、もともとの心の傷や、心の不調や空虚さがあるのだから、そう簡単に人に依存しなくてよくなるものではないだろう

あまりに自立を促すより、カウンセラーに、よりまともな依存ができるようにしてやるとか、土居先生のいうような素直な甘えができるようにしてあげるほうが現実的な治療だと思う

洗脳の怖さの話ばかりが出ているが、もともとがそういうものに引き込まれやすい病理があったり、そういう心の状態になっていたことを忘れてはいけないし、洗脳を解くカウンセリングだけだとおそらくは不十分だ

洗脳の怖さを知らせるのも大切なことだが、普通の人がちょっと心の不調や空虚感を感じるときに、周囲がサポートできたり、気軽に精神科などにかかれる体制や啓蒙というのも大切だ。世の中には、この手の洗脳が金になることがわかっている人間はいっぱいいるので、それがないと簡単に餌食になってしまう。1回1万円のカウンセリング(これでもそんなに豊かな収入にはならない)が高くていけないという人が、この手の洗脳にあうと100万単位の金を平気でつぎこんでしまう。洗脳でなくてもパチンコなどにはまって月に何十万も使うこともざらにある。

アメリカでは経営者が精神科医をもつのが、日本では占い師のような人に莫大な金をつぎこんだり、経営方針までみてもらうような経営者が意外に多いと聞く

まともな依存、まともなメンタルヘルスなくして、洗脳の被害者は、全員ではないが(精神的に健康なときはそんなに被害は受けない)跡を絶たないだろう。

あと、復職の話まで出ていたが、洗脳というのは、催眠状態とかトランス状態とは原則的に違う

一応、意識は清明だ

ある一部分の判断力が壊されていたり、命令や暗示がないと行動ができなくなったりするが、それ以外の部分では話しているとまともだし、知的レベルも落ちない。難しい本を読み、その内容を語ったりもできる。しかし、自分が洗脳された部分については、その知性が活かせない

だから、この女性タレントにしても、意外に、テレビでトークなどはできるかもしれない

むしろできないとすれば、洗脳のせいというより、こんな形でいろいろと心が傷ついていたり、鬱になっているためなのだろう

逆にいうと仕事ができるようになったからと言って洗脳が解けたとは言えない

心の病が治っていたり、本調子になっているわけではない

そこを勘違いしてほしくない

まだ洗脳した相手を思う気持ち、依存したい気持ちなどは残っている可能性は十分あるし、ほかの人に心を開かなかったり、不安定な精神状態である可能性だって高い

誰かの支えがないとやっていられないだろうし、それがないと元に戻ってしまうリスクも大きい

前に逆適応障害のブログを書いたときに、びっくりするような売れっ子の方が、自分もそうだというメールをくれた

仕事はできるが、家ではブルーという人だって意外に多いのだ

ただ、仕事に出ることがリハビリになる人もいるし、そうやって社会と接することで自分を取り戻す人もいる

何が言いたくてこんなブログを書いたかというと、人の心は決めつけるべきでもないし、こういう機会に勝手な思い込みが蔓延するのが危険(このタレントが危険ということでなく、一般の人々がメンタルヘルスを勘違いするのが危険ということだ)だと思ってつい言いたいことを書いてしまった