私の昨日のブログの「しかも、彼らは少年のうちに悪いことをやったおかげで、その後、レイプを重ねても実名報道されない」という内容に対して、「私の読解力がないだけかもしれないのですが、その後というのは大人になった後のことですよね?でしたら、大人になってからの犯罪でしたら、実名は報道されるのではないでしょうか?」(引用終わり)というメッセージをいただいた。

常識的に考えてそう思うのはもっともな話だ

ところが足立区の女子高校生、集団レイプ、コンクリート詰め殺人事件の犯人がその後暴行事件を起こした際に、その少年事件の犯人であったという理由で、ほとんどのマスコミが実名報道を自粛した

あり得ないことをやるのが日本のマスコミだ

更生の可能性のためなのかわからないが、大人になってから更生していないような人間までか、少年保護の対象になって実名報道されない。

これは多くの、少年犯罪から更生しようとしている人たちに悪い前例になった。自分たちは大人になって悪いことをしても、実名報道されないで済むことを教えることになったからだ

そういう意味でもマスコミの姿勢は許せない

さて、昨日は私の保険診療の勤務日で忙しい一日だった

午後も忙しかったのだが、午前中に心療内科の医者(私は老年科=老年精神科を担当している)が診ている患者さんが、薬を大量服薬したということで、私が臨時で診ることになった

カルテを見ても、少し点滴などをして落ち着いてから話を聞いても、自殺企図であり、自殺念慮が残っているのは明らかだった

私のその地域に知り合いの入院できる病院がないし、また、ほかにもいっぱい患者さんを待たせている(実は、ことのほか、書類書きの多い日でもあった)

結局、私の夕方のカウンセリングの患者さんを待たせて紹介状を書いて、入院先を探すことになり、ケースワーカーが何十件も電話をかけるのだが、それが見つからない

もちろん、私の勤め先は外来専門だし、入院専門のほうの病院も精神科のベッドがない

私もねばれるだけねばったが、次の予定があって帰らないといけない(もちろん、これが自分の患者さんなら、次の予定をキャンセルしてでも入院先を探しただろうが)

結局、私はものすごい後味の悪い思いをして病院を出た(結果的に一日だけ入院専門のほうの病院に担当の臨床心理士がとまりこむという形で入院して、翌日に精神科の病院に転院できたそうだ。その臨床心理士の先生は前から尊敬していたが、本当にありがたい)

日本という国は自殺が14年も続けて三万人を超えている。東日本大震災の1.5倍の人が毎年自殺の犠牲になっている

もちろん、精神科入院中の自殺も含め、医療が手を貸しても、止められない自殺はある

でも、本当に危ない時に止めておけば、その後は一生を全うすることも少なくない

自殺未遂をしたときというのは、もっとも危険なときだ

睡眠剤などを大量服薬したとかいうときに、救急病院で胃洗浄と点滴だけして帰すと、その日のうちに自殺を本当にするなどという話は珍しくない

なぜ、精神科の救急を引き受けてくれる病院がこんなに少ないのか?

ほかの救急以上に人の命がかかっているというのに

昔、先輩の医者は、精神科救急の場合は、ちゃんと紹介状なんか書くんじゃなくて、救急車を呼んで患者さんに救急受診をさせるしかないと言われたことがある

自殺の危険が差し迫っていれば、責任上、入院を受けるしかないからだそうだ

内科の医者が、自殺はまずいと思って、気を遣って、電話をして、紹介状を書いても引き受けてくれないのに、救急車を呼んで、死にたいと言えば引き受けてもらえる

今、全国で精神科救急は各県で整備されつつあると言われている

私の勤めている神奈川などはいいほうだとされている

それでも実情はこのありさまだ

人が死んでいない放射能で大騒ぎする前に、毎日90人が自殺する国なのだから、やるべきことがあるだろうと本気でいいたくなった