アメリカに住んでいたころ、91年から94年で、日本もバブルがはじけていたが、アメリカもまだ景気が相当悪かった

というか、私はカンザスというど田舎に住んでいたこともあって、こんなにアメリカが貧乏くさい国なのかとあぜんとした

高くてもいいものはさっぱり売れず、電化製品は日本と比べると3年から4年落ちくらいの製品が新品で日本の半額くらいで売られていた

車は中古車が当たり前、スーパーは激安だが、ろくなものは売っていない

昼飯もタコスでがまんすれば3個で1ドルだった

だから夫婦年収3万ドルくらいでも十分生活できたが、医療費が出ない、大学はカンザスの外には行けないということが当たり前だった

日本がこんな国になってはいけないと思ったが、20年たって、アメリカ人の賃金は当時と比べて2-3割上がったが、日本人は2割くらい下がっている

そして、今の状況は当時のアメリカとそっくりだ

ところが、その貧しいカンザスは、格差を認め、所得の再分配に否定的な共和党が強かった

貧乏なのに、今の暮らしが変わらなくていいのかと思っていたが、政府に救われるのが恥、富や幸は自分の力で得るものだという考えが浸透していた以上に、アメリカンドリームへのあこがれが強かった

要するにせっかく成功できたときにたくさん税金が取られるようならアメリカンドリームはなくなるとみんな信じていたのだ

1000人に一人か1万人に一人、成功した時に100万ドル入っても60万ドルも税金取られるくらいなら、貧乏な人が医者に行けなくても大学に行けなくてもいいという発想に唖然とした

でも、当時のアメリカ人は高校生の2割くらいがまともな読み書きも計算もできなかった

愚民化政策は怖いと思った

その後も、大統領選挙のたびに、裕福な西海岸や東海岸では民主党が勝つのに、貧しい内陸部で共和党が勝つという不思議なことが続き、さらにもっと過激な新自由主義のネオコンも台頭するし、クリントン時代から民主党まで金持ちの味方になった

日本でいちばん生活保護受給者が多く、景気の悪い大阪が、日本のネオコンともいえる維新の会の根拠地だし、貧しい人のほうが、ネット右翼になったりしている

昨日書いた法曹の世界に限らず、地方はあまりの景気の悪さに、子どもを東京の大学に出せないなんてことが珍しくなくなっているという

九州の名門公立校に講演に行った人に聞くと、東大に入れる学力の子どもが東京に行く電車賃がないから九大を受けることがあるそうだ

格差社会がひどくなったほうが、貧しい人が格差是認型のネオコンのような人を、そして外交的に勇ましい人を求める

これが愚民化政策のためなのか、一時のマスコミが作ったブームなのかはわからない

でも、多分次の選挙までは流れは変わらないだろう

前にも書いたが10年待てば、日本にもリベラルとかソシアルの政党が出て、ちゃんと勝ってくれるのだろうか?