ノルウェーの連続テロ犯が再検証でも精神障害の鑑定を受けたそうだ。

77人も人を殺しておいて、無罪ということもあり得る話になった

いろいろな怒りの声もあがるだろう。

日本では精神障害者は、やはり怖いと思われているところがある。

何らかの形で事件を起こすとかなり大々的に報じられる。

ただ、日本という国は殺人そのものが少ないこともあって、実際に精神障害者による殺人事件は年間数十件のレベルである

外国と比べて、精神的なケアが遅れ、また偏見のために精神科にかかるのをためらう人が多い割にはいい数字といえる

しかし、確かに殺人の総数が1000をちょっと超える国だから、人口に対する精神障害者の割合より、殺人事件の中での精神障害者の割合がかなり高いのも確かだ。

精神障害の人、とくに統合失調症の人は、殺したくて殺すというより、幻聴や妄想のために、不安だから殺すというパターンが多い。だから、相手を完全に抹殺しようとして、手口が残忍なものになりやすいし、たとえば村人全員にバカにされているとか、みんなが自分を亡きものにしようと思っているなどという風に考え出すと、村人全員を殺すような計画を立てかねない

だから、手口が残忍になりやすいだけでなく、大量殺人のリスクも大きい

ここで問題になるのは、そういう人たちが、その道具を手にすることが容易かどうかだ

それがかなり難しいものなら、現実問題として事件にはなりにくい

しかし、たとえば今回の事件のように爆弾でも手に入るなら、本当に何十人も殺せてしまう

銃にしても同様だろう

年間数十件の殺人を予防するために、たとえば統合失調症の人をみんな閉じ込めるというようなコストにあわないことをするより、銃や爆弾などへのアクセスを厳しくするほうがよほど現実的だ

実際、マスコミで騒ぐより、日本で精神障害者による殺人が少ないのは、そのためと言っていいくらいだ

同じ日に心の病で休職する教師が18年ぶりに減少したというニュースもでていた

教育委員会で休職者対策をしたり、心の病になると医者にかかるというモデルが確立してきた影響が大きいのだろう

でも、まだまだ心の病で休職する教師の数は高止まりなのも事実だ

精神障害者による殺人は年間数十件だが、自殺の数は年間三万件以上。少なく見積もっても7-8割は精神障害があるはずだということになっている

統合失調症でさえ、幻聴や妄想に支配されて人を殺す数の10倍以上の数で、人を殺すくらいなら自分が死のうと思ったり、その幻聴や妄想が耐えられなくなって自殺するとされる

そういうことがまったく報じられず、精神障害は危険という考え方がよけいに広まると、医者にかかれず自殺する人は増えるいっぽうだろう