昨日は、あまりの忙しさに、会食の約束を忘れてしまう

慌てて駆けつけて、平謝りに謝って、そのまま意気投合したが、結果的に帰ったら時差ボケもあって、ブログを書けずに寝てしまう

ということで、本日も4時半に目が覚めて眠れない

5時に起きて、昨日のメールの返事をして、やっとブログを書き始めることになる

海外はリフレッシュになるが、私の歳だと後が意外につらい

今、検察が元検察をさばく裁判をやっている

冤罪の構造にかかわるものだから、注目はしたい

この流れで小沢氏の秘書グループも、小沢氏も冤罪ということになるだろう

ただ、マスコミが無罪判決を出しても叩き続けることはある

薬害エイズの安部英氏がそうだった

無罪判決の判決文を読めば、内容はきわめて妥当だし、これで有罪にするのは困難(帝京大学で20人以上のAIDS感染者が出たが、ほとんどがウィルス発見前で、その人については起訴もされていない。ウィルス発見後に感染したたった一件の死亡患者についての業務上過失致死罪に相当するかの裁判だった

安部氏が加熱製剤の治験を遅らせたとか、安全でないのがわかっていて安全と言ったという話と違って、その1件の死亡ケースについては、安倍氏は主治医でも何でもなかった。非加熱製剤が危険だからやめろと教室の責任者として指導しなかったことが業務上過失致死にあたるかという判決なのだから、無罪はほぼ当然の流れだった

それでも、安倍氏のようなスケープゴートを作りたかったのが当時のマスコミのようだった

判決は不当という記事一色のような気がした

ただ、『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実』という本を読む限り、血友病やAIDSに関するマスコミや政治家の無知はひどかった

加熱製剤が早く使えるようにするのは、もちろん正しい方向性だったが、それまでの間クリオ製剤を使うべきという議論がとても強かった

しかし、濃縮製剤である非加熱製剤だと血友病の患者さんが何らかの怪我(ものに腕が強く当たるくらいで、止めにくい内出血が起こる)をした場合、自己注射ができる

ところがクリオ製剤は医療機関にいかないと打ってもらえない

このため非加熱製剤が使えず、クリオが治療の主流だった頃は血友病の患者さんの平均寿命は30歳になっていなかった

多少感染のリスクがあっても非加熱製剤のほうが長生きできるという判断はそれほどおかしなものでなかった

実際、感染のリスクと言っても、非加熱製剤によってAIDSになったとされる2000人のうち1900人はAIDSがウィルス性のものとわかる前の感染だった

ウィルス性のものとわかった場合でも感染者がどの程度発病するのかがよくわかっていなかった

というのは、HIVとよく似たウィルスとされるHTLV-1の場合は、感染者の中で成人T細胞白血病を発症する人は100人に一人もいなかった

感染してもAIDS発症の可能性がそれほど高くないのなら、平均寿命が30歳にもならないクリオに戻すより、自己注射ができる非加熱製剤のほうがいいだろうというのは、医者としては比較的妥当な判断だと思う

こんなことは恥ずかしながら、精神科医である私は知らなかった

本書の著者である弁護士のほうがよほど勉強していた

恥ずかしながら、安倍裁判の判決文も読んでいなかった

そして、当時は私自身、安倍氏を断罪する原稿をいくつか書いていた

だからこそ、この本の妥当性に打たれ、非常に反省している

当時、国会で安部氏にクリオを使わないのかと机を叩いてかみついたのが、今、時の人になっている枝野氏(彼も弁護士上がりである)だ

当時の野党の調査能力なら、マスコミの記事だけで、いろいろなことを考えるのは仕方なかったと思う

今は、どれだけの情報をもとに、判断を行っていくのだろう

これからのほうが見ものだ