昨日のブログに対するメッセージがいくつかきたが、正直なところがっかりした

本筋である金持ちによる中流と貧困層の分断については何のメッセージもこないで飲酒運転厳罰化について私が否定的な考え方をもっていることに攻撃的なメッセージばかりが届く

強いてあげれば私が都市部に貧困層がいることや都市部のワーキングプアとされている人の年収をご存じかというメッセージもいただいた

そんなことは何度も書いているつもりだが、すごく嫌な気分になった(元国語の先生らしいが、心情読解のプロであるはずなのに、どうして、こんなに人のことを小馬鹿にしたような文体で書かれるのだろう)地方と都会の格差のことを書くと、都会には貧困問題がないということになるのだろうか?現実には都会のほうがはるかにホームレスが多いのは常識だし、私のように精神科の臨床医をやっていると生活保護は患者さんの3分の1近くになってしまう(今は減っているのは福祉が厳しくなっているからとみている)東京の平均所得が多いのは、貧困問題がないからではなく、ヒルズ族のような1億円以上の年収の人が多いので平均を引き上げているのは、確実に言えることだろう)

ただ、なぜこの文章が不快に感じたかというと、言外のニュアンスが、お前は貧乏を経験していないだろう、そんな奴に何がわかるというものに感じ取れて仕方なかったからだ

私は、格差は是正してほしいし、ベーシックインカムや子供手当のように給付型の政策にはむしろ賛成だ(このほうが消費を増やすし、よけいな公共事業を行うより無駄なコストがかからない。ただし、何らかの公共事業を行うのと比べると、官僚も政治家もおいしくないので、彼らがそれについてのマイナスの情報を流すことが、この間の上杉さんや茂木さんが参加した勉強会で問題になった。そしてマスコミが簡単に官僚の流す情報に乗ることも)その財源がなければ、消費税を増やすより、累進課税と相続税の大幅増税、あるいは金融資産税で対応すべきと思っている。どれも私にとってみれば、損なことであるが、格差があるのと比べると安心して生活ができる

というのは、私は贅沢が好きな人間であるからだ

貧しい人間が飢えているのに平気で贅沢をするのは、なんとなく抵抗はある。たまたまラジオで藤原正彦氏が、日本人にはそういうのを嫌う情があることを強調していた

しかし贅沢はやめたくない。貧しい人の味方と名乗るなら贅沢はやめろというなら、金持ちの味方に戻るしかない。そのくらい弱い人間ではある。

貧しい人、弱い人と連帯するのは難しい。自己愛が満たされていない人と連帯しようとすると、すぐにひがみのパワーを受けることになる。勝ち組どうしで負け組の人をバカにしているほうがはるかに楽だ。

しかし、マスコミであれ、政治家であれ、勝ち組が政策決定する以上、いわゆる勝ち組の中に貧しい人の味方を増やしていかないと世の中は変わらない。ましてや共産党も組合も弱く、革命など私が生きている間に起りそうにない国ではなおのことだ

飲酒運転問題について本質的に抜け落ちている視点を明日提示したいが、一つだけ確認したいのは、私は飲酒運転を合法化したいと思っているわけでないことだ

私が言いたいのは、
1.世界一厳しい基準である必要があるのか(家族がファミレスにいってビールを飲むくらいでつかまる基準は妥当なのか)?
2.飲酒死亡事故の厳罰化のあと相当飲酒死亡事故が減っているのに、わざわざふだんの取り締まりを強化したり、とくに朝に検問して前日の酒が残っている人間まで懲戒免職にする必要があるのか?(これによって福島などでは、飲み会がみんな金曜日になって、月曜日から木曜日は閑古鳥がなく店が多いらしい。震災で福島、とくに浜通りあたりの飲食店や飲み屋が潤っているのは僥倖だ)
3.そして、一番言いたいのは、夜中に人がほとんど歩いていない上に帰りの交通手段のほとんどない地方とその逆の東京や京阪神や中京圏などで同じ取り締まりにしないといけない理由があるのか
ということだ

さて、
交通事故の一件あたりの経済損失を計算したことありますか?。一度計算して見ろと言いたい。厳罰化を緩めたら、 経済損失が大幅に激増し、全国年間で、現在でも兆の単位の被害額が更に激増する。 交通事故の数が増えるほど日本経済を駄目にしている元凶であると考えても良い。(原文ママ)
というメッセージをいただいた

ですます調とである調がごったになっている上に、随分失礼が物言いだと思うが、この人は、交通事故が今よりはるかに多かった時期のほうがはるかに日本の経済状態がよかったことや、日本が世界の先進国の中でいちばん厳しい取り締まりをやり、世界で人口当たりの死亡事故が少ないのに、なぜ先進国の中でもっとも経済成長率が悪い状態が続いているのかを考えたことがあるのだろうか?

このロジックは、損保の保険会社のロジックそのものだ。交通事故での経済損失は確かに小さくないだろうが、日本経済に大きな影響を及ぼすレベルではない。

厳罰化を緩めたら経済損失が大幅に激増(このいい方もちゃんとした日本語でない。激増と書くなら大幅は不要だ)とかいうが、たとえば飲酒死亡事故は年間200-300件で、経済に大きな影響を与えるレベルでない。それより一桁多い、スピード違反による事故についてはどうなのか?経済への影響が心配なら、日本中でねずみとりを増やして、飲酒並みの厳罰化をやったらどうなのか?

年間三〇〇〇〇以上の自殺が続いている国で、年間100件にも満たない小中学生の自殺だけが教育政策を変えるほどの大きな問題として取り扱われ、年間300件にも満たない飲酒死亡事故が諸悪の根源のように言われる

犬が人間を噛んでもニュースにならないが、人間が犬を噛むとニュースになるとか言うが、実際、珍しいが目立つこと、腹の立つことにばかり(原発問題もその一つと考えると書くと、また噛みつかれるのだろうが)に目がいく、マスコミ的な発想から、国民が自由になるのはいつのことなのだろう?