私が銀座では、どんなに雨が降っていても、どんなに高齢な人でも、タクシーに乗ろうと思えば、とぼとぼとタクシー乗り場にまで歩かないといけないのに、大金持ちや政治家ややくざのように運転手が使える人は、店のすぐ前から車に乗れるというブログを書いたら、貧乏な人はタクシーに乗れないから認識を改めろというメッセージをいただいた

確かに貧乏な人はタクシーに乗れない

そんなことはわかっている

地方は東京の年収の半分などということがざらだからなおのことタクシーに乗れない

それなのに、東京のマスコミがあおって、地方も飲酒運転厳罰化をされるはめになった

東京とちがって夜中に歩いている人などいないのに、飲酒運転は厳罰化され、地方の飲食店はぼろぼろになった。そして、仕事の愚痴をいったり、うさを晴らす場を地方の従業員は奪われている

もちろん、地方の警察のトップは地方警察出身でない、警察官僚で、地方の実情を無視した取り締まりをさせる

それも断罪し続けてきたつもりだ

さらに、大学院を出ても就職できないとか、教育産業の落伍者、高校、大学などの非常勤講師が、食えなくてタクシーの運転手、代行の運転手をしているというこのメッセージの主の話は悲痛だ。こういう高学歴ワーキングプアの問題を解決しないと、よけいに一般の子どもたちは勉強しなくなるし、そういう高学歴者が、金持ちの子どもの慶応の幼稚舎あがりのような人間にこきつかわれるのが目の当たりにされると、ますます勉強のモチベーションは崩される

気づいたら、東アジアの人間に、学力もない、金もないで、劣等民族の扱いを受けるのがオチかもしれない

だから、私はどんなに顰蹙をかっても相続税100%を訴え続けている

ただ、私はこのインテリの方の考え方に与することはできない

森永卓郎氏も指摘するように、格差社会というのは一人の勝ち組と99人の負け組に分かれる社会だ。森永氏の試算だと一人の勝ち組は年収1億になり、99人は年収300万円。つまり勝ち組は運転手つきになり、99人はタクシーに乗れないということだ(こんな社会ではタクシーの運転手も食えない。現に地方にいくとタクシーの運転手の年収が100万円程度なので、定年退職者しかやらないなんてことがざらにある)

ただ、厄介なことに資本主義国は建前は民主主義で選挙もやる

99人に団結されると金持ちの財産が接収されかねない

だから、99人の分断をやる。そうすれば金持ちがひきずりおろされることなく、自分たちと関係ないところのけんかによって政党やイデオロギーがわかれるからだ

その中で相対的に豊かな人間とそうでない人間とけんかをさせたり、公務員と民間をけんかさせたり、正規雇用と非正規雇用でけんかをさせる

日本はまさにこれがうまくいっている

経営者の年収は増え続け、企業の収益は増え続けているのに、一般従業員の賃金は下がり続けている

それでも経営者を恨むのではなく、公務員に憎しみを向けさせている

公務員より年収の多いマスコミも、高所得のタレントも、一緒になって声をあげ、公務員はボロクソにたたかれる

経営者がこんなに儲かっているのだからストをやればいいのに、ストをやらないから、組合は金が余って仕方がない

そういう組合の資金や資産の実態をマスコミがたたいて、今度は組合は正規雇用の味方とか言って、非正規雇用の人間に正規雇用の人間を叩かせる

今回のメッセージの主も、タクシーの乗れる人間と乗れない人間の分断を考えている

タクシーに乗れるだけましだろうという憎悪を感じさせる文章だった

しかし、庶民がタクシーに乗れなくなったのは、格差社会が本格化した90年代半ばからだ

本来はタクシーに乗れる人も乗れない人も連帯して、格差社会を作りだした運転手つきの車に乗る人間をたたくべきなのに、タクシーに乗れない人間がタクシーに乗れる人間を憎悪するのを正当化し、私はタクシーに乗れるブルジョワだと言わんばかりの責め方だ

本来中流の味方のはずのインテリが、貧しい暮らしを強いられると、それを作りだした富裕層でなく、インテリ層が目指すべき中流層をたたくという現実がとても悲しい

無知な大衆が、マスコミにだまされて公務員やタクシーに乗れるレベルの中流や正規雇用をたたくのならまだ救われるが、立派なインテリまで金持ちとマスコミに洗脳されるというのが当たり前というのであれば、日本の格差社会は本物になるだろう

金持ちは太り続け、中流は貧困層から脚を引っ張られて、どんどん貧困層に落ちていくという構図(たとえば大幅な公務員のリストラや正規雇用者の非正規雇用化)が現実のものになりそうだ

このメッセージの主は、これでも私の認識不足を怒り続けるのだろうか?