とある夕刊紙から松本龍氏が軽躁状態という診断を受けたという取材を受けた

たまたまメッセージでも、それで免罪でいいのかというものをいただいた

軽躁状態とか、「震災対策による心身の疲労により」とかいう玉虫色のコメントは嫌いだが、私自身も、松本氏が躁病の可能性はあるとは思っていた。逆に言うと、仮病とは思っていない。

実は、昨日、九州のとある大物の人と飲んでいたのだが、「あんな人じゃなかったのにね」という話だった。問題になった宮城県知事のやり取りのテレビにしても、最初からかなり落ち着きがなかったし、しゃべり方もおかしかった。目つきも少し血走っていた。

知事にサッカーボールを蹴り込むという奇行もさすがに変だ

といろいろなことを考えて、双極性障害ではないかという疑いがよぎった

もし仮病とか作り話であれば、確かに、これで免罪にしていいのかという話になるが、本当に躁病だったとしたら、やはり松本氏であれ、周辺の人間であれ、家族であれ、相当気の毒だ

私自身、精神科医として、躁病というのは、本当に怖い病気だと認識している

万引き、暴力、セクハラ、カード破産、いろいろなパターンはあるが、社会的生命を失う結果になった人を、自分の患者さんでなくても何人か知っている

いっぽうで、適切な治療をすれば、比較的すんなり落ち着く病気でもある

やはり、とある芸能界の偉い人の親がそんな風になってしまって、家族は大パニックになっていた

これから、一生、こんな親を背負って生きていかないといけないのかと

入院させ、適切な投薬をすれば、数日でよくなった

明らかにうつ病だったのに、機能性胃腸障害とかいって、政治生命を守るためなのだろうが、病名をごまかして首相を辞めた人がいた

でも、私は、ノルウェーのボンデヴィック氏のように堂々とうつ病だと公言してやめるべきだと思っている。治って、彼が首相に復帰した時に、国民は歓喜したが、うつ病は誰でもかかることと適切な治療をすれば治ることを国民に示すことで、うつ病で気軽に病院に行くようになって、ノルウェーの自殺は激減した。今では人口10万人当たりの自殺率は日本の半分だ

松本氏も、軽躁状態とか、「震災対策による心身の疲労により」というようなごまかしをやめて正直に躁病と告白し、治療で治ってからの自分を見てくださいというほうが、よほど患者さんのためになる。

本当に病気だった場合は、さすがに人殺しをしたような場合は別にして、免責にしてあげる。そして、治療に専念してもらって、そのあとで活躍してもらうほうが、よほど社会のためだし、精神病への啓もうになると私は信じる