明日から拙著、『”捨てる”勉強法』が全国のサークルKサンクスでブックフェアが開催されるそうだ

この本は、タイトルは実はあまり気に入っていないのだが、なかみはかなりいい。

要するに勉強法の本をどう使うかという勉強法の勉強法になっているということだ

ところで、久しぶりにアホな人間からメッセージをいただいた

私が精神科医のくせに原子力が安全だと語るのが可笑しいそうだ。

ただ、この人は、「福島の原発はこれからも放射能を出し続けるし、チェルノブイリの放出量にどんどん近づいている。放射能の量だけを見ると広島や長崎と福島を比べるのが間違いなのは明白。」と今回の事件での危険性を論じている。

その根拠はあいまいだが、人体への影響について医者でない人間が語るのは正しくて、一応は医者の免状をもっている私がいうのは間違いだそうだ。

確かに私も放射線について100%安全だとは言っていないし、思っていない。100%ということ自体は自然の放射線だってあり得ない。

もっとショッキングなことをいうと、当該の住民の50%はがんで死ぬだろう。ただし、当該の住民でなくても推定値であるが、日本人ががんで死ぬ確率は50%と推定されている。

要するに、どのくらい危険なのかは実のところ、専門家でもよくわかっていないようだ。

広島や長崎と比べるのが間違いというが、では広島と長崎は何人被ばくで死んだのかご存じで、今回は何人が被ばくで亡くなったというのか?(むしろ風評被害で仕事がたちいかなくなって自殺した方はいたが)

放射線の害が、今回の事件のほうが広島や長崎より上だと、広島や長崎に行って、堂々と主張できるなら主張してみろと言いたい。少なくとも放射線医学の常識では、同じ10シーベルトの放射線をうけるなら、長期にわけて受けるほうが、一回で受けるより害が少ないということになっている。

さて、私がなぜ精神科医なのに、放射線の害に否定的な発言をするのには理由がある

要するに、逆プラセボ効果を恐れているからだ。

害のないビタミン剤を吐き気がする薬だと言って飲ませたら吐き気がしたというような実験はいくらでもある。

毒かどうかわからないものを毒と思わせることの、体への害は意外に大きい

倫理的に無理なので、そういう実験がないが、これは飲むと死ぬ毒だと信じさせて、無理に飲ませたら、死ぬ可能性すらあるという。またこのような不安な状況が続くと、免疫機能が低下する。当該の地域のがんが増えたとすれば、放射線の害より、この手のストレスの影響の可能性だってある。

これにしても、水その他が危険であるという情報が理解できない認知症の患者さんと一般の高齢者でどちらががんになりやすいかを比べてみると、放射線の影響なのか、危ない危ないと騒ぐことの影響なのか、おおむね推定できる

危ないか危なくないかわからないうちに危ないと騒ぐことのほうがはるかに無責任だということが精神科医の立場だ

私自身は、現状レベルの放射線の害がないというのが、事実かどうかはわからないが、無視できるレベルだと信じている

だから、原発のメンテナンスの会社の人のメンタルヘルスのボランティアに行っている。実際に年間の線量の限界を浴びた人と10cmしか距離をおかずに何の防護具もつけずに30分も1時間もしゃべっている。

それ以上に、私は、放射線科の医者たちに聞く限りでは、このぐらいの線量なら安全のはずだし、私だって入っていいなら入るということを彼らに強調する。余計な不安が体に悪いというのは精神科医なら常識だ

あとこのアホは、確率的なリスクについてもわかっていない。女性の過度なダイエットが重要臓器の発達に影響を与える確率と、容姿をよくするために美容整形の失敗で死亡するリスクはどっちが大きいかも計算しないで、私は美容整形ならよくて、ダイエットならいけないと攻撃している

もちろん病気の手術と違って、美容外科の手術で死ぬのは悲しいし、ほめられたことではない。しかし、その多くはトレーニングをまともに受けていない医者によるものだという事実もある

ただ、人間というのは、実は知らない間にリスクをとっている

私だって、本日も(どころか年に363日も)酒を飲んでいる。

お酒を飲むことでアルコール依存症になる確率は2%もあるし、肝臓を悪くしたり、自殺するなど、酒がらみで死ぬ確率など10%近くもあることも知っている。でも、好きだからやめない

ダイエットや美容外科の手術にしてもリスクをきちんと説明して、それでもやるならいい。ただし、未成年の人は、その責任能力がないし、思春期の子供は臓器の発達時期だから、ダイエットにあこがれさせるようなやせすぎモデルやタレントを出すなと言っているだけで、大人のダイエットや美容外科に口を出す気はない。その代り、リスクをきちんと説明するというのが説明責任だということだ。

酒の危険やダイエットの危険は、すでに統計的にはっきりしており、%のオーダーで命にかかわったり、健康にかかわるが、放射線の危険は、現状のレベルではまだはっきりしないことだけは確かだ。しかも、酒の危険やダイエットの危険は、そのリスクをとるかを本人が決められるが、今回の被爆者たちは、選択の余地がないのに、危険という情報ばかり流されて、逆プラセボ効果で体をむしばみ続けられている

たとえば致死量の100分の1の青酸カリを10日続けて飲むのと、たんなるミネラルウォータを、将来がんになる毒だと聞かされて10日続けて飲むのと、健康被害はどっちが大きいだろう

おそらくは後者だというのが精神科医の予想だ

ついでに言うと、この人は、東大卒が今回、保身のために嘘をつくから、昔みたいに学力を上げれば日本がよくなるというのが幻想だと「完全に」わかったそうだ。

軽率に「明らかだ」とか「完全に」という言葉を使うことが、知的レベルを反映しているが、まさにこのような非常時に、学歴のない原子力のことをまったくわかっていない人間しかいなければ、どうやって終息させるというのか?

私に言わせれば勉強しているからダメなのでなく、勉強不足だからダメなのだろう。

ただ、日本の技術は実は捨てたものではないそうだ。原発のメンテナンス業者に言わせると、政治の論理で排水設備をアメリカ製とフランス製を入れているからうまくいかないそうだ。日本のクリタなどならもっとうまくいったのにというような話だった。

これからの予防については、リスクを高めに見積もるのは悪いことではない。しかし、起こってしまったことについては、リスクを高めにいうことは、被害者の精神状況や身体状況を悪化させ、間接的な人殺しにすらつながりかねない。

それだけは知ってほしいからアホを相手にすることにした

ところで、佐賀県の古川知事は本気で見直した

放射線のリスクは、まだ人が死ぬレベルにはなっていないが、熱射病は人が死にかねないし、高齢者の夏場の死者数は熱射病でなくても、脱水そのほかで暑さのために確実に増える(本年度の夏場の高齢者の死者数と例年を比較すればすぐに計算できるはずだ)

今原発を動かしても少なくとも事故が起こっていない地域では人の命を奪わないが、意地で原発を止めると夏の時期に死ぬ人は確実に増える

一度お会いした時から、本気で県民のことを考えている人とお見受けしたが、今回、さらにその感を強くした