君が代の起立命令に最高裁が合憲判決を出した。

私自身は何度も書いてきたように、君が代を起立して歌うとか、国旗に礼をするとかいうことは明治以降の伝統であって、日本国の伝統とは思っていない。

だが、そうするように命令をしたことに対して、損害賠償を求めていいとは思っていない。

一般的には会社であろうが、公務員であろうが就業規則はある。郵便局時代だって、制服がダサいと言ってきなければおそらく規律違反でクビにできただろう。(詳しくは知らないが)公務員でも、会社員でも、会社の命令は受け入れないわけにはいかない。第一、学校の先生が好き勝手やって、上司の命令を聞かないのなら、生徒に校則を課すのはダブルスタンダードだ。

ただ、君が代での起立が気に入らなければ、別の闘い方はある気がする。

要するに「これはルールだから守るが、私は気に入らない。でも気に入らないルールでも守らないといけない。だから君たちも制服であれ、校則であれを守らないといけないんだ」と教えることも教育だろう。

その上で、生徒に教えていいことはある。

確かに教師が勝手な思想教育はしてはいけないだろう。

でも、「君が代も日の丸も江戸時代まではなかったものだし、日本という国は、欧米のように国歌や国旗にへいこらする伝統はなかったんだ」と本当のことを教えることは許されるだろう(授業時間の雑談としてでも、ある程度の事実や本日のニュースの解説を聞かせる程度のことは学校教師には許されていたはずだし、今も許されているだろう)。

「君が代に起立を強制するのは、そういう過去の歴史を知らず、明治以降の歴史だけが日本の歴史と思っている人の考えのように先生は思うんだ」くらいまでも言っていい気がする。

「でもね、そういう無教養な人間が上司であったとしても、言うことを聞かないといけないのが社会のルールなんだよ。だから、先生も守る」

こういうことだって教育だろう。

「会社に入っても、社長が変な人なら、変な制服を着せられるかもしれないけど、言うことを聞かないとクビになっちゃう」

ここで、「そんなの嫌だ」という生徒が出てくれば、「じゃ、勉強して、そういうルールのない会社を自由に選べるくらい優秀になったり、医者のような資格をとらないと」みたいなことも言えるかもしれない。

きちんと君が代に対して起立をするし、日の丸には礼をするのに、この手の「余計なこと」を言う教師をクビにするということは意外に難しいのではないか?

こういう教師が増えれば、日本の出まかせな「伝統」がインチキだと気付く子供が増えていいのだが。