国が東電を公的管理下でリストラを行う方針を固めたという。

リストラというのが、資産を売却して会社をスリムにするという意味なのか、余剰人員の首切りを行うという意味なのかはよくわからないが、どうも読む限り、後者のニュアンスも含まれているようだ。

政府公認で首切りをしていこうというわけだ。

しかし、今回、問題になったのは、経営効率の悪さより、安全面の配慮の欠如だろう。

賠償対策や利益確保のために、がんがんリストラをして、安全面の対策が手薄になるのを防ぐために政府が経営に入り込むというのなら話はわかるが、逆に、賠償対策のためにもっとリストラをさせるために政府が入るというのなら、民間の別の経営者を立てたほうがよほど効率がいい。

ただ、そもそもリストラをさせるという考え方が解せない。

最近の人殺し焼肉屋の事件でもコストカットのために十分な人を雇わなかったことが、衛生管理面に悪影響を及ぼしたようだ。

最近の日本の安ければいいという発想は、どんどん人減らしの方向に向かって、サービスや安全が二の次にされる嫌いがある。

それ以上に、問題なのは、クビになった人たちの先々だ。

生活苦のためにうつになったり、自殺する人も出てくるだろう。子供が進学をあきらめるという形で子供の将来にまで影響が及んだり、学力低下につながる結果になるということもあるだろう。

かんたんにクビにしない時代の日本は、自殺は年間で今より1万人以上少なかったし、学力も世界のトップレベルだった。生活不安が少なく、子供の教育に力を入れられるから当然のことだ。

震災で死ぬ人間は可哀そうだという点で、日本人の優しさが少し戻ったと思ったら、やはりリストラ好きは変わらないのだろうか?

反原発の人たちにしても、これまで年間3万人も自殺してきたのは平気で見過ごしてきたのに、自分たちに災禍がふりかかりそうになると命が大切と声高に主張する。

たまたま、爆笑問題の太田氏がテレビに出ていた。

憲法9条を世界遺産にとか言っていた気がする。

戦争で死ぬのはいけなくて、貧乏で自殺するのはOKというのが、この1回テレビにでるごとに2-300万入ってくる人の考え方なのだろうか?

反戦論者や反原発論者で、貧困問題も何とかしろとか、国民のメンタルヘルス問題を何とかしろとか言っていた人間はどのくらいいるのだろう。

私はへそ曲がりだから、戦争や原子力は、貧乏人も金持ちも平等に死ぬ確率がある(もちろん金持ちのほうが多少、その確率は低いだろう)が、リストラ自殺は、貧しい人、弱い人だけの問題だから、まだ戦争や原子力のほうがましな気がしてしまう。

テレビが世論や政治を決めるこの国では、金持ちが被害を受ける可能性のあることだけが、道徳的に悪いこととされるようだ。