先週、『週刊現代』という雑誌の取材を受けた。

相続税の増税をどう思うかということだが、当然、私は持論の相続税100%論を展開した。

もともとは比較的左翼的で、少なくとも労働者階級の味方の雑誌と信じていたのが甘かった。

もちろん、私のコメントはボツになり、それどころか相続財産を守れとか、それに大反対の論調だった。

だったら、時間の無駄になるのだから、「実は、相続税の増税に反対する立場なので、取材を打ち切らせていただきます」とでも言ってくれればよかったのだが、調子よく話を聞くので、うっかりと30分以上も話してしまった。まったくの時間の無駄である。

ただ、ここしばらくの週刊現代は、昔の労働者や中産階級の味方の雑誌から、金持ちの味方の雑誌に明らかに転換している。

編集者の平均年収が1500万円で、世襲の野間家を守るためには、それも仕方ないだろう。ここからでた日刊ゲンダイの編集者が週刊現代の半分と言っていたが、事実そうなのだろう。

私の邪推かもしれないが、金持ちの味方系の雑誌は小沢たたきがひどいし、貧しい者の立場を少しでもわかっているように私に感じられる雑誌は小沢氏を擁護する。小沢氏が貧しい者の味方かどうかは判断できないが、金持ちに嫌われているのはよくわかる。

グラビア系の雑誌は、とくに女性誌は読者からの収入より広告収入がはるかに多いらしい。

週刊誌は逆なので、広告主に媚びるより、読者に好かれるような作りが原則らしい。

しかし、今では週刊誌もスポンサーに媚びたり、自分たちの立場を守るために、法人税を減らせ、相続税は減らせ、金持ちの税金を減らさないと競争力をそぐし、金持ちが外国に逃げていく。その代わりに消費税を上げないのは無責任というのが基本論調だ。まさに講談社、週刊現代路線である。

もちろん、日本の週刊誌は昔からそういうところがあった。

かつて慶応大学医学部の集団レイプ事件の際も、たまたま主犯の21歳の男(それ以外は少年)が少年ではなかったのに、老年医学のボスの息子だったせいで、どこも実名報道をしなかった。私が聞いた話では、製薬会社を通じて相当な圧力をかけたらしい(私が流した噂ではないが、私が流したと思われたらしく、このボスにはさまざまな嫌がらせをされている)。

結果的に、老年医学会ではつい最近まで薬を減らす研究がほとんどされていなかった。

広告主にこびた週刊誌のせいで(というか、製薬会社に借りを作った学会ボスのせいかもしれないが)、年間1兆円くらいの老人医療費が無駄に使われ、一つのレイプのしりぬぐいに10兆円くらい使われた計算になる。

いつか相続税を100%にしたら、若い人の税金が減るし、高齢者の消費も盛んになるし、金持ちも子弟教育をしっかりやるなどメリットが多いという話の本を書きたいが、世襲企業が多い出版社では、こういうものを出版してもらえるのはいつの日になるのだろうか?

1冊でいいからミリオンセラーが出れば、私も出したい本が出せるようになるのだが。

テレビの大罪もマスコミに嫌われたせいか、書評ゼロの記録を更新中である。