昨日のブログは思った以上の反響があった。

また腹を立ててブログをやめるのではといういたわりもあったのか、ありがたいことにほとんどが好意的なものだった。

痛いところをつくメッセージもいただいた。

その方は東大に今年入る予定(受験生が自信をもつことは悪いことではない)だそうだが、私の文章からひがみが感じられるという。実際、その方は、イケメンである上、球技も万能だそうだ。

彼の言うことがはったりのように思う人がいるかもしれないが、私は、そうは思っていない。実際、知的レベルが高いということは大脳皮質の発達もいいということで、東大生で私のように運動がビリというタイプは意外に少ない。灘校に入った時も、周囲がみんな結構運動ができるので、かなり落ち込んだ記憶はある。練習の絶対量が少ないので、トップレベルになるのは難しいが、平均をとってみると、東大や灘校はスポーツができる学校なのではないかと思うくらいだ。実は、今、宇宙飛行士になっている古川聡氏を学生時代に取材したことがあるのだが、東大のカールルイスといわれるくらい足が速かった。逆にスポーツ選手も同じく大脳皮質が発達しているので、練習にかけた時間を受験にかけていたら、たとえば石川遼君などは確実に東大に入っていたのではないかとも思う。

ルックスのほうも、東大生はずいぶんよくなった。親の平均年収が高いのだから当然と言えるし、今は東大二世も多い。美人の奥さんをもらって、私立の六年一貫校に子供をやって、東大に行かせるのだから、子供のルックスもよくなるのは当然ともいえる。

ということで、その男の子も、イケメンで、スポーツもできて、東大に確実に入りそうということで、私がひがみっぽく聞こえるのだろうが、まったくその通りである。ただ、50年も生きていると、この手のひがみが意外にパワーの源泉となるようで、誰とは言わないが、ひがみっぽい人間のほうが成功者になっていることが多い気がする。少なくとも成功者のかなりの比率で、こちらが予想する以上にひがみっぽい人間がいる。要はそれをプラスのパワーにできるかということだろう。(私がジャイアンツやタイガースの批判をするのもカープファンのひがみであることは十分承知している)ちなみに、ポニョで一躍スターになった藤巻藤岡がまりちゃんズ(一人メンバーが欠けているが)と名乗っていたころに、歌った「ひがみブルース」という曲は、私の愛唱曲の一つである。もっと好きなのが梶芽衣子の『恨み節』だ。

もう一つ、早稲田のスポーツ枠について、陸上で入ってくるのは毎年5人程度、長距離なら3人くらいしかいないという批判を下さった方がいる。

3人も取れれば十分だろう。

たとえばジャイアンツが、3人しかとりませんから、ドラフトの前にいい選手をくださいといって通じると思うのだろうか?沢村と大石と斉藤が一度にとれるのだ。駅伝は10人で走る。3×4で、それだけで12人になる。逆にスポーツ推薦をとりすぎたら、学校のレベルが下がり過ぎるだろう。その上、早稲田の場合、高校から早稲田実業に入れるという裏技まで使っている(さすがに早稲田の高等学院には入れないようだ)。実際、今回の駅伝でも一般入試で入ったのは一人ではないかということだ。

その方に言わせると、「最後に、東洋大学と早稲田大学から推薦の話がきたらみんな早稲田大学を選ぶとおっしゃっていますが、それは断じて間違いです。むしろ、地方出身の高校生は偏差値を気にしている子はほんの一部です。ほとんどは純粋に自分が強くなれる環境を求めて学校を選んでいます。」ということだが、これについては、かなりの数のメッセージがきた。お前が親なら、やはり偏差値の低い子供が早稲田に入れるというなら断りますか?というメッセージももらったし、学校の先生としてはなるべくいい学校に入れたいという力学も教えてもらった。学校によっては、進学実績を上乗せするために(地方だと早稲田に一人や二人入っただけで相当高校の格が上がるらしい)なるべく偏差値の高い学校にスポーツ推薦枠を使うところもあると教えてくれた人もいる。学校の教師にしても、体育会系の顧問や監督をやっている高校教師は、どれだけの数で「いい学校」にスポーツ推薦で進学させたかが露骨に評価されるかが決まる現実を教えてくれた人もいる。

少なくとも「断じて間違い」ではなさそうだ。東洋のほうを選ぶ子もいるというレベルが真相ではないかという(ジャイアンツとカープに誘われてカープに来て下さる奇特なひともいらっしゃるのと同じで)気がする。

それ以上に、スポーツ推薦の経験者から、「スポーツ推薦については、対象となった経験から見ても、単に大学の宣伝に利用されているだけで、多くの人材が犠牲になっていると思います。この制度があるために、中学から(下手すれば小学生から)全く勉強しない子供が全国に何万人いることか(自分は高1から全く勉強しなくなりました、朝練夜練、休日は全日練習か試合、毎日帰りは夜10時頃、勉強はまず無理です)。しかも大学卒業後、社会人になってから使えない人材が多く、教養がないためにかつての活躍しか話の種がないのが実態です。」と教えてくれるメッセージをいただいた。(実は同様のメッセージをほかに2通も、スポーツ推薦の経験者からいただいた。スポーツのできる人にひがんでいるせいもあって、スポーツ関係のつきあいが少ないので非常にありがたい話である。インターネットのありがたさを痛感した)

さて、早稲田出身ですが、同感ですというメッセージもいただいたし、その人の話は説得力もあるし、キー局を地方に分散させろ(私が『テレビの大罪』で書いたとおりである)という意見も私と同じで、とても知的な方だと思う。

ただ、この人も批判していることだが、やはり私は早稲田大学とか、早稲田商法というものは好きになれない。

タレントを入学させたり、卓球選手を入学させては逃げられる。

付属の小学校を作った途端に高額の寄付金が表面化する。

教授会で教授を決めると、助教授の中でいちばんできが悪い人間を選んで、身の安泰を図るという話もかつては聞いた(今はだいぶましになったらしいが)。実際に、早稲田に東大卒の教授はかなり少ないようで、ここが慶応などとの違いらしい。吉村作治先生が長い間助教授に止めておかれたのも、そのせいだという話を聞いた。かつては早稲田の教授というと上の言うことばかり聞いている、できの悪い学者というイメージが強かった。実際、スター教授も同レベルの大学と比べてかなり少ない。せっかくスター教授としてとった植草氏は今どうしているのだろうかと思ったら、いきなりベストセラーを書いているようだが。

それ以上に問題なのは、入試をビジネスとしか考えていないから、早い時点から全問マークシート形式にしていることだ。

受験競争が厳しいから、東大がつまらない官僚的な人間を作るという批判が多いが、入試問題を見る限り、早稲田のほうがつまらない人間しか入れないような問題になって久しい(もちろん、東大を落ちて早稲田に来るような子には優秀な子は結構多いようだが、今は慶応と早稲田に受かるとたいがい慶應に行くという)。

問題は、それをOBが怒らないことだ。

東大卒の場合は、なぜか東大嫌いの人が多い(それも別の意味で問題だが)。ゆとり教育の旗振り役の寺脇研さんなどは、東大時代友達がいなかったのではないかと思えるほど、東大入試や偏差値の弊害を説いていた。

私にしても、東大が教授の定年を勝手に65歳に引き上げて、できの悪い教授が居座れるシステムにしたことには怒り心頭に発している。むしろ給料を上げてでも、5年程度の任期制にして、そのときの旬の学者(もちろん現役の東大教授でもいい)が東大教授になれるようにしたほうが、はるかに教育も研究もレベルが上がる。

しかし、早稲田卒の人たちで、「こんなクズの入試問題を出すな」とか、「こんなクズな教授選びをやめろ」とか、「いい加減スポーツ推薦で引き抜いた選手ばかりで、勝って浮かれるな」などという声を本当に聞かない(インターネットの世界ではあるのかもしれないが)。早稲田OBの多い大マスコミで、そんな声は聞かないし、これまた早稲田OBが多い(勝谷氏もそうだ)テレビのコメンテーター様もそういう話はまずしない。

早稲田がマスコミを牛耳っている限り、日本の学力低下が止まる気がしないのだが、これもひがみだろうか?(かと言って、私の知る限り、早稲田の人は東大批判、学歴社会の批判をする割には、中卒や高卒、あるいは自分の大学より偏差値の低い学校の卒業生を見下している人が多い気がするが)