野村證券のセールスマンはとにかく優秀だ。

リーマンショックの前くらいか、もう少し前だったが、それなりに野村のファンドで儲けさせてもらっていたことがある(私がというより妻がであるが)

で、優良な顧客にだけということでファンドラップという商品を勧められた。

しばらく売れないとか、支店扱いでなく本社扱いだとかいう説明は受けた気がしたが、とにかく有料顧客だけしか買えない(今思うと本当なのだろうかと思うが)などという言葉に乗せられて、つい買ってしまった。

結果は散々だった。

リーマンショックそのほかで株がどかっと下がる直前に売られたので、本当に大切な顧客には、こういうものは勧めず、中途半端な顧客に売りつけるような仕組みを作ったのかもしれないが、その後は散々だった。

もちろん解約すれば買値をずっと下回る状態が続き、どんな運用をしているのだろうと思っていた。

その上、知らないうちに、ついた配当で、勝手に買い足す契約にされていてどんどん買い足されていく。

さすがに下がっている時期に買い足すのはおかしいと思って、運用益はお金でもらうように頼んだが、それが実行されるのに数ヶ月かかった。

でも、喜んでいると、私や妻がいろいろなファンドに入っているが、その中で、配当は最低で、1000万円入って1700円などというのもある。

これだけでも腸が煮えくり返るが、実は、まとまったお金が必要なことがあって、唯一元本割れをしていない日本債券のファンドがあったので、その解約を申し入れた。

すると、まとめてほかの2本の大赤字のファンドとセットでないと売れないという。

信じられないが、それが現実だった。私も妻もその説明は受けた覚えはないのだが、おそらく書類は向こうにあるのだろう。読む気がしないくらい長い説明をつけて、相当高額なものでも、不動産の重要事項説明のように要点だけを説明しないでいいようになっている。お年寄りが多い国で結構危険なことだろうが、自民党政権時代も、民主党政権時代も、証券の活性化で株価を上げることのほうが失業者を減らしたり、実質的な成長率を上げるより、経済政策の成否を判断される指標になっているのだから、証券会社はやり放題だ。

もちろん、野村證券のやり口がひどいというのならそれまでの話だが、よくよく考えたら、解約もしにくい、利回りも悪い、運用も悪い、その上、損をしていても一部を売ることができないくらい換金性が悪い。調べれば調べるほど条件の悪いファンドを、しかも最低3000万円以上でないと入れないというハードルまで設けて、おそらく私だけでなく、多くのちょっと金の貯まった人間に売りつけているということである。

要するにそれだけ野村のセールスマンは優秀だということなのだろう。リーマンショックも含めて、かなり多くの客に損をさせ、ネット証券のように手数料が圧倒的に安い証券会社のライバルも大量に出てきているのに、それでも、きちんと顧客を確保し、日本でリーディングカンパニーであるだけでなく、日本の3大メガバンクでさえ、それに認められなかった、G20が認定する「国際的に重要な金融機関」に認定されるという。

最近、子供の友達が、ゴールドマンサックスにインターンでいったら、25歳の先輩社員が年収1億円もらっていると聞いて、やはり証券会社は健在だということを実感させられたところだが、その上をいくのだから、野村證券は大したものだ。

自分がよほど頭がいいという自信がない人でない限り、近づかないという意外、身を守る方法がない天才集団が野村のセールスマンなのだとよく心した。

もちろん、これは自分がアホですという告白だということをよくわかってほしい(ただ、似たようなアホが日本人の99%くらいいそうな気がするが)