今朝ラジオを聞いていたら耳を疑う数字が聞こえてきた。

世帯年収に対する小学校以上の子どもの在学費用の割合は、平均37.6%になったというのだ。景気が悪くなって、世帯の平均年収が減っているのに、教育費は授業料も通学費も増えているからむしろ増えているのだという。

あとで調べてみると、ネタもとは日本政策金融公庫が今年度、国の教育ローンの利用世帯を対象に実施したアンケートらしく、負担割合はこの10年で最高だそうだ。

財政が厳しいから消費税増税はやむなしの声が強いが、いつも引き合いに出されるヨーロッパは、原則的に教育費がタダである。多少高い所得税や消費税を払っても、よけいなお金がかからない。教育に金がかからないということであれば、たとえば親が失業や病気をしても、子供は学校を続けることができる。

これは意外に大きな意味をもつ。

一つは、高福祉もあいまって、教育がタダだとあまり貯金をしなくて済むということがある。その分消費に回るのは景気の下支えになる。

もう一つは、国の教育レベルが景気に左右されないことになる。

景気が悪いと、失業すると、子供が教育を受けられないというのでは、何十年か先に、労働者の中で、実質使い物にならない人の割合が高くなってしまう。

昔の産業構造であれば、教育レベルの低い人を吸収する肉体労働の口はいくらでもあったが、ロボットにできることを人間にやらせると株主に訴えられる時代だし、公共事業はどんどん減っていくだろうから、教育レベルの低下は莫大な失業をうみかねない。

いっぽうで、総所得の4割近くも教育にかかるなら、これは税金といっていいものだ。

社会保障料で給料の3割がむしりとられ、さらに4割が教育でとられるなら、どんな生活をしろというのか?

日本は消費税が安いなどという言葉には絶対にだまされてはならない。

消費税を上げるなら、確実に教育費を安くするという言質を取らないといけない。

とにかく日本という国は子供が大きくなるほど金がかかる

子供が大学生になると仕送りは平均で年102万円だそうだ。

ところが最近発表されたデータをみるお、大卒の内定率は6割を切った状態だという。

いったんフリーター(非正規雇用)に陥ってしまうと、正社員に雇ってもらえる確率は3割というデータもある。大卒で一生フリーター、一生非正規雇用の人が3割近いということだ。

これでは、親の教育投資熱は確実に冷え込む。

ところが日本の場合、親が教育に金を出さなくなった場合、公教育支出はOECDで最下位という体たらくだ。親の教育費が激減すると、日本の教育支出は世界最低レベルになる。これで国民の知的レベルが保たれると言うのか?

日本の場合、かつては企業が福祉を肩代わりし、またなるべく正社員で採用することで、教育熱を高めてきた。

こういう責任の放棄が、最終的に労働者の質を下げ、自分で自分の首をしめることになるのに気づいているのだろうか?

それとも、そうなったら外国に工場を作るからいいやと開き直っているのだろうか?

愛国心というのは、こういう経営者にこそもってほしいのだが。